藤原定子が遺した寂しく悲しい三首の遺詠…大河ドラマ「光る君へ」7月21日放送振り返り:4ページ目
藤原定子の崩御・三首の遺詠
難産の末に崩御されてしまった定子。その遺詠は、どれも悲しいものでした。
夜もすがら 契りし事を 忘れずは
恋ひむ涙の 色ぞゆかしき
【意訳】二人で契ったあの夜をお忘れでなければ、どうか涙を手向けて下さい。その涙はどんな色なのでしょうか。
これは劇中にも出て来ましたね。心中の思いを隠して一条天皇を突き放し、彰子を愛するように伝えた定子の悲しみが胸を打ちます。
知る人も なき別れ路(ぢ)に 今はとて
心ぼそくも 急ぎたつかな
【意訳】これから旅立つ冥途には誰も知る人がいなくて寂しいけれど、私は急ぎ逝かねばなりません。
夫や子供たちを遺して旅立たねばならぬ無念さが伝わってくる一首。あちらには、亡き両親が待っていてくれるでしょうか。
煙とも 雲ともならぬ 身なれども
草葉の露を それとながめよ
【意訳】私は土葬されるので、火葬とは違い煙にも雲にもなりません。だから草葉を濡らす露を見て、私を思い出して下さい。
これもまた、実に寂しい一首と言えます。紀行でも言及された通り、定子は鳥辺野に土葬されたのでした。
第29回放送「母として」
まひろ(吉高由里子)の娘、賢子は数えの三歳に。子ぼんのうな宣孝(佐々木蔵之介)に賢子もなつき、家族で幸せなひとときを過ごしていた。任地に戻った宣孝だったが…。まひろを案ずる道長(柄本佑)は、越前国守の再任かなわず帰京した為時(岸谷五朗)に子の指南役を依頼するが、為時は断ってしまう。一方、土御門殿では、詮子(吉田羊)の四十歳を祝う儀式が盛大に執り行われていた。しかし、詮子の身体は弱っており…
※NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより
これを見て「あぁ、宣孝が卒去するのだな」と感じました。妻を置いて任国へ旅立ち、そのまま亡くなる様子は『源氏物語』の空蝉(うつせみ)・伊予介(いよのすけ)夫婦を思わせますね。
かくして邪魔者はいなくなった……もとい未亡人となったまひろを案じて道長は遠慮なくアプローチを仕掛けるようです。その内、賢子が自分の娘だと知らされるのでしょうね。
また久しぶりに帰京する父・藤原為時(岸谷五朗)の活躍も楽しみです。
サブタイトルの「母として」とは、一人娘を抱えたまひろと敦康親王の養母となった彰子を指しているものと思われます。
果たして今後、どんな展開を迎えるのか、次週も注目して行きましょう!
トップ画像:NHK大河ドラマ「光る君へ」公式サイトより