藤原定子が遺した寂しく悲しい三首の遺詠…大河ドラマ「光る君へ」7月21日放送振り返り:2ページ目
一条天皇と藤原彰子
道長の政具として一条天皇に入内した藤原彰子。あまりの幼さに「雛(ひいな)遊びの后(おままごとのお姫様)」と呼ばれた彼女は、とても定子に太刀打ちできる存在ではありませんでした。えいが
そんな彰子が一条天皇の興味を惹くようになったのは、劇中でも演じられた笛の一件です。
「笛の音は聴くものであって、見るものではありません」
だから顔を向けず耳を向けている。理屈は分からんでもありませんが、普通に考えて失礼でしょう。
畏れ多くも天皇陛下に対し奉り、何たる暴言……と思いきや、一条天皇は大らかに笑い飛ばしました。
【意訳】「だから貴女は幼いと言うのです。70のお爺さんをやり込めるなんて、恥ずかしいじゃありませんか……」
※『栄花物語』より
自身を70のお爺さんに喩えるのは、あまりに幼い彰子を女性として見ていないことの表れでした。
しかし、この一件で面白いと思ったのか、一条天皇は次第に興味を惹かれていきます。
定子の崩御後、遺された敦康親王を彰子(実際には道長夫妻)が養育したこともあって、二人は次第に距離を縮めていくのでした。