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藤原定子が遺した寂しく悲しい三首の遺詠…大河ドラマ「光る君へ」7月21日放送振り返り

藤原定子が遺した寂しく悲しい三首の遺詠…大河ドラマ「光る君へ」7月21日放送振り返り:3ページ目

定子が食べた「青ざし」ってどんなお菓子?

妊娠中の悪阻(つわり)で食欲のない定子に対して、清少納言が献上した青ざし。

これは青麦を煎って臼でひいた粉を練り、その生地を糸のように綯(よ)ったお菓子です。さらに火は通した(蒸した?揚げた?)のでしょうか。

この場面は『枕草子』にも描かれています。

……青稜子(あをざし)といふものを持て来たるを、青き薄様(うすよう)を、艶なる硯(すずり)の蓋に敷きて、「これ、笆(ませ)越しにさぶらふ」とて、まゐらせたれば、
みな人の花や蝶やといそぐ日も わが心をば君ぞ知りける
この紙の端をひき破(や)らせたまひて書かせたまへる、いとめでたし

※清少納言『枕草子』第222段

【意訳】青ざしというお菓子を青い薄紙に載せて「笆越しにございます」と献上した。定子は青い薄紙の端を引き破いて和歌を詠む。

「みんなが私を見捨て、彰子様を花よ蝶よと持ち上げる中、貴女だけは私の心を理解してくれますね」

これほど嬉しいことはなかった。

……この思い出が、清少納言をして「節(せち)は五月にしく月はなし。(節句は5月が一番素敵)」と言わしめたのでした。

「「いつも、いつも」」

他愛ないことで笑い合えた日々は、清少納言にとって何物にも代えがたい宝であったことでしょう。

4ページ目 藤原定子の崩御・三首の遺詠

 

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