勝利は自分の力でつかめ!迷信を否定した武田信玄(演:阿部寛)のエピソード【どうする家康】:2ページ目
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「「「何と言うことを!」」」
畏れ多くも八幡大菩薩のお使いを殺すなどと、暴虐無道のお振る舞い……驚きと非難の色を隠せない家臣たちに、信玄は言いました。
「この戯けどもが!鳩が来たゆえ戦に勝つ申すなら、鳩が来ねば負けは必定か!戦は誰が戦うのか!鳩か!我らか!鳩が来る来ぬ勝つ負けるなど下らぬことを申しておらんで、少しでも味方の有利を図るのが武士であろう!わかったか!」
縁起など担いでおる暇があるなら、勝利をつかむべく出来ることがいくらでもあるはず。信玄の荒療治に、家臣たちも目から鱗が落ちたことでしょう。
「「「ははあ……っ!」」」
果たして信玄は数々の戦いに勝利を収め、信濃国を制圧していくのでした。
終わりに
晴信、信濃に兵を出せし時、鳩一羽庭前の樹上に来る。衆見て口々に私語て喜ぶ色あり。晴信其故を問ければ、鳩樹上に来る時、合戦大勝にあらざることなし、御吉例に候と答ふ。晴信、鳥銃を以て忽ち其鳩を打落して、衆の惑を解けり、鳩若し来らざる時は、衆疑阻する心ありて、戦危からんことを慮りしが故なり。
※『名将言行録』巻之七〇武田晴信
以上、迷信をものともしない信玄のエピソードを紹介してきました。
とは言うものの、やはり武田軍中から迷信が一掃されたかと言えばそうでもありません。軍配者による占いや首実検の作法など、旧来の風習も根強く残ります。
それにしても、もしこのシーンを阿部寛がやってくれたらゾクゾクするでしょうね。果たして「どうする家康」ではどんな信玄を魅せてくれるのか、今から楽しみです!
※参考文献:
- 岡谷繁実『名将言行録(一)』岩波文庫、1943年9月
トップ画像: 大河ドラマ「どうする家康」 公式サイトより
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