端午の節句の菖蒲湯(しょうぶゆ)の由来は?中国伝来の「おまじない」としての由来を探る:2ページ目
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武家社会の縁起物としても
さて、そんな菖蒲湯の由来は古代中国の端午の節句の風習までさかのぼります。
中国では、端午の節句は邪気や魔物をはらう厄祓いの行事が行われるシーズンであり、もともとは「蘭草(ふじばかま)」の葉を浮かべた蘭湯に入り身を清める浴蘭節が行われていました。
日本の端午の節句は梅雨の時期にあたりますが、中国の場合も長雨で伝染病や害虫被害などが多い時期で、これらの邪気払いを目論んだものだと考えられています。
やがてこうした風習が日本に伝来しますが、日本では蘭草が少なく、かわりに石菖蒲と呼ばれる菖蒲の仲間で代用したことから「菖蒲湯」になったとされています。
もちろんそこには、薬草としての効果を期待する意味合いもありました。
そして、鎌倉時代以降の武家社会で、菖蒲の読みが「尚武(武を重んじること)」につながるとして、端午の節句の縁起物として定着していったのです。
ちなみに現在は、石菖蒲より効能の高いものや水菖蒲を使うのが一般的です。
さまざまな「おまじない」
菖蒲(湯)のおまじないめいた利用法は他にもあります。菖蒲湯に入る際、その葉を頭にハチマキのように締めて入ると効能が高まり頭が良くなるという伝承があります。
また、5月4日の夜に寝床や枕の下に菖蒲を敷いたり、菖蒲で作った枕を使ったりして、翌日これで菖蒲湯を立てて無病息災を願う風習もあります。
今では、端午の節句と言えば「こどもの日」というイメージで、柏餅やこいのぼり、兜人形などがパッと頭に浮かびます。
しかし植物の菖蒲もまた、おまじないや健康を目的として端午の節句で中心的に使われていた重要アイテムだったのです。
参考資料
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