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「鎌倉殿の13人」死角から現れる刺客は公暁か、あるいは…第43回放送「資格と死角」予習

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頼仁親王、鎌倉殿の後継者候補に

さて、政子が藤原兼子とたびたび会談したのは、鎌倉殿の「跡継ぎ問題」を話し合うためでしょうか。

……実朝ガアリシ時。子モマウケヌニサヤ有ベキナド。卿二位物語シタリト聞ヘシ名残ニヤ。カカル事ヲ申タリケル。信清ノヲトドノムスメニ西ノ御方〔坊門局〕トテ。院ニ候ヲバ卿二位子ニシタルガ腹ニ。院ノ宮〔長仁親王〕ウミ参ラセタルヲ。スグル御前ト名付テ。卿二位ガ養イマイラセタル。初ハ三井寺ヘ法師ニ成シマイラセントテ有ケル。猶御元服アリテ親王ニテヲハシマスヲ。モテアツカイテ位ノ心モ深ク。サラズハ将軍ニマレナド思ニヤ……

※慈円『愚管抄』第六巻より

【意訳】かつて、実朝に子供がいないことについて、藤原兼子(卿二位)がこんなことを言っていた。「西御方(にしのおんかた。坊門局、坊門信清の娘)が産んだ後鳥羽上皇の皇子を将軍(鎌倉殿)にしてはどうか」と。

すぐる御前と名づけられ、はじめは出家していたものの、元服を機に還俗。彼が頼仁親王(よりひとしんのう)です。

実朝にとっては義理の甥に当たるため、鎌倉殿の後継者として資格は十分と言えるでしょうか。

この話を持ちかけられた時点の政子は「縁起でもない(きっとお世継ぎが生まれるはず)……でも、万が一の保険としては悪くない」と思っていたか、前向きにとらえていたものと考えられます。

しかしいざ実朝が暗殺されると、後鳥羽上皇の反対によって計画は頓挫。皇子を北条の人質にとられると危機感を抱いたのでしょう。

まだ大河ドラマではキャスティングが発表されていないようですが、誰が頼仁親王を演じるのか、そしてどんなアレンジがされるのか楽しみですね!

公暁、千日参籠を始める

京都でそんな話が進んで?いた一方、公暁は千日参籠に入っていました。

晴。阿闍梨公曉補鶴岳別當職之後。始有神拝。又依宿願。今日以後一千日。可令參籠宮寺給云々。

※『吾妻鏡』建保5年(1217年)10月11日条

【意訳】晴れ。公暁が鶴岡八幡宮寺の別当となってから初めて参拝。かねての願いを叶えるため、この日から千日参籠を行なう。

千日参籠とは文字通り、千日間(約3年間)にわたるお籠りの修行。基本的に外界との交流を一切遮断する厳しいものです。

とは言え、完全に遮断するわけにもいかないので、連絡役として稚児の駒若丸(演:込江大牙)が任命されます。

駒若丸は三浦義村(演:山本耕史)の三男で、元服して三浦光村(みつむら)と改名。後に三浦一族きっての武闘派に成長しますが、それはまた別の話し(大河ドラマの時代では言及されません)。

ところで義村は公暁の乳父であり、公暁が鎌倉殿になることを望んでいたことでしょう。それが頼仁親王にとって代わられるとあれば、心中穏やかではないはずです。

何とか公暁を鎌倉殿に……義村はどのようなアプローチを行い、その中で駒若丸がどんな役割を演じるかが見どころとなるでしょう。

終わりに

他にも実朝の従弟である阿野時元(演:森優作)を推す実衣(演:宮澤エマ。阿波局)など、この時点ではまだ源氏の血を引く者もいくらかおり、鎌倉殿の「資格」をめぐって対立が続きます。

義時にとって不利な状況が続く中、果たして朝廷からの干渉にどう対抗し、手を打っていくのでしょうか。

そして「死角」から現れる「刺客」は公暁か、あるいは思いもよらぬ第三者か、三谷幸喜によるアレンジに注目です。

※参考文献:

  • 五味文彦ら編『現代語訳 吾妻鏡8 承久の乱』吉川弘文館、2010年4月
  • 三谷幸喜『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 完結編』NHK出版、2022年10月
 

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