源実朝と前世の絆が?テイ龍進の演じる宋人・陳和卿とは何者か【鎌倉殿の13人】:2ページ目
前世の師弟が再会?
それから月日は流れて建保4年(1216年)6月8日。陳和卿が鎌倉にやってきます。
晴。陳和卿參着。是造東大寺大佛宋人也。彼寺供養之日。右大將家結縁給之次。可被遂對面之由。頻以雖被命。和卿云。貴客者多令断人命給之間。罪業惟重。奉値遇有其憚云々。仍遂不謁申。而於當將軍家者。權化之再誕也。爲拝恩顏。企參上之由申之。即被點筑後左衛門尉朝重之宅。爲和卿旅宿。先令廣元朝臣問子細給。
※『吾妻鏡』建保4年(1216年)6月8日条
【意訳】晴れ。陳和卿が鎌倉に到着。彼は東大寺大仏を再建した宋の人である。彼は再建供養に際して頼朝から面会を求められても罪業のゆえに辞退した。しかし今の将軍(実朝)は仏様の生まれ変わりであり、ぜひお会いしたいと申し出ている。まずは大江広元(演:栗原英雄)が詳しく話を聞くことにした。
仏様の生まれ変わりとは凄い話ですが、本当なのでしょうか。興味が湧いた実朝は、さっそく陳和卿と面会しました。
晴。召和卿於御所。有御對面。和卿三反奉拝。頗涕泣。將軍家憚其礼給之處。和卿申云。貴客者。昔爲宋朝醫王山長老。于時吾列其門弟云々。此事。去建暦元年六月三日丑尅。將軍家御寢之際。高僧一人入御夢之中。奉告此趣。而御夢想事。敢以不被出御詞之處。及六ケ年。忽以符号于和卿申状。仍御信仰之外。無他事云々。
※『吾妻鏡』建保4年(1216年)6月15日条
「おぉ、我が師よ……!」
陳和卿は実朝を三度も拝み、涕(なみだ)を流して大泣きしました。いったい何事かとドン引きする実朝に、陳和卿は話します。
「あなたは前世、宋の医王山育王寺(いおうざん いくおうじ)を開かれた長老で、私はその弟子だったのです……こうしてお会いできたことは、奇跡と言うよりございませぬ!」
お前は何を根拠に言っているんだ……普通なら呆れかえってしまうところですが、実朝にも心当たりがありました。
「そう言えば、もう3年前になるが、丑刻(深夜2:00ごろ)に夢を見たのだ。高僧が私の前に現れ、そなたと同じことを申しておった。あれは忘れもしない、建暦元年(1213年)6月3日のことであった……」
この話は誰にもしたことがなく、まったく偶然の一致。以来、実朝は陳和卿を信用するようになったのです。