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「鎌倉殿の13人」時政・りくの謀叛計画「牧氏の変」を慈円はこう見た。第37回放送「オンベレブンビンバ」予習

「鎌倉殿の13人」時政・りくの謀叛計画「牧氏の変」を慈円はこう見た。第37回放送「オンベレブンビンバ」予習:2ページ目

まんまと追放された時政夫婦

さて関東にて源実朝を討ち殺して、この友正(朝雅)を大将軍にせんと云うことを支度する由を聞きて母の尼君(政子)騒ぎて、三浦の義村と云を呼びて「かかること聞こゆ一定なり。これ助けよ。いかがせんずる」とてありければ、義村よき謀の者にて具して義時が家に於きて、名にともなくてかざと郎党を催し集めさせて、戦さ立て将軍の仰せなりとて、この祖父の時政が鎌倉にあるを呼び出して、もとの伊豆国へやりてけり。

※『愚管抄』第六巻より

【意訳】そんな中、時政夫婦が鎌倉で将軍・源実朝を暗殺して婿の朝雅を将軍位につける謀議を、尼御台・政子(演:小池栄子)が聞きつけた。
彼女は大騒ぎして三浦義村(演:山本耕史)に相談する。「このままでは鎌倉殿が危ない。どうすればいいでしょうか」義村は智謀に長けた御家人だったため、一計を案じた。
あらかじめ他の御家人らに根回しをした上で「謀叛人を討伐するため、執権殿に総指揮を執っていただきたい」と誘い出す。
しかしこれが罠で、鎌倉を離れた時政をみんなで捕らえて伊豆国へと追放してしまったのであった。

……ここで政子の「立ち聞き(重要情報を事前にキャッチして危機一髪)スキル」が発動、かつて比企能員(演:佐藤二朗)の謀略を未然に防いだように(『吾妻鏡』による)。

※余談ながら、大河ドラマでは代わりに比奈(演:堀田真由。姫の前)がその役割を代わっています。

我が子のピンチを救い出そうと政子が頼ったのは三浦義村。京都でも彼こそ「尼御台が頼りにする鎌倉でも屈指の策士」と認識されていたようです。

「平六殿、お知恵を貸して下さい」

「……お任せあれ」

義村は義時の館にみんなを集め、一芝居を打ちました。

「これより謀叛人を討つ……此度は、執権殿に指揮を執っていただかねば収まりませぬ」

「そうか?ならば人肌脱ぐとするかのぅ……」

久しぶりに存在感を示せる喜びか、時政は意気揚々と鎌倉を出立、どんどん西へ進みます。

「ところで、謀叛人とは……」

「もうお気づきでしょう。執権殿ご自身ですよ」

「……何だと!」

気づけば周囲の御家人たちに取り押さえられ、あれよあれよと故郷の伊豆北条まで送られてしまった時政。

「おのれ、謀ったな!」

「命までは奪りませぬ。どうか、穏やかな余生をお過ごし下され」

「何をバカな、おい小四郎!」

「父上……今までご苦労様でした」

かくしてまんまと鎌倉より追放された時政。『愚管抄』ではりくに関する言及はないものの、ほどなく時政の元へ送られたのでしょう。

3ページ目 平賀朝雅の最期

 

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