「鎌倉殿の13人」一度戦となれば、一切容赦はしない。第35回放送「苦い盃」振り返り:5ページ目
次週・第36回放送「武士の鑑」
「一度戦となれば、一切容赦はしない。相手の兵がどれだけ多かろうが、自分なりの戦い方をしてみせる」
執権・北条氏を相手に勝てるとは思わないが、せめて一矢報いてくれよう(もちろんそんなことはおくびにも出さず「私とて鎌倉を火の海にはしたくない」と嘯く心意気も素敵です)。
第1回放送「大いなる小競り合い」の登場からずっとクールで物腰柔らかな重忠でしたが、その内に燃える闘志は誰よりも坂東武者そのものでした。
義時「腹を決めていただくことになるかもしれません」
実朝「決して殺してはならぬ」
義盛「腕相撲で勝負してみようと思う」
泰時「すぐに着替えを」
義時「冗談だ!」
時政「それ以上、口を挟むな!」
りく「楽しいことを考えましょう」
政子「何を考えているの。何をする気」
泰時「父上は、怖くはないのですか」
義時「平六を呼べ」
重忠「(ちえに)行ってまいる」
もはや「畠山重忠の乱(重保の騙し討ち、重忠の討死)」は不可避。永年の凸凹コンビ?だった和田義盛の腕相撲、これは重忠が片手で暴漢をねじ伏せたエピソードの再現でしょうか。
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ついでに片手で郎党を投げ飛ばしたエピソードも。拳で床に穴があくのも納得です。
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義時の「平六を呼べ」は恐らく由比ヶ浜で重保を騙し討ちにする場面。『吾妻鏡』では義村の手勢が討ち取っています。
また、久しぶりに稲毛重成(演:村上誠基)も登場するでしょうか(『吾妻鏡』だと重保は従叔父である重成に呼ばれて鎌倉に滞在していました)。
りく「楽しいことを考えましょう」これは恐らく重忠の死後にその潔白が証明され、「牧氏の変」で失脚・出家(伊豆へ追放)させられた時政との会話と予想します。
それにしても、実朝は本当に可哀想ですね。たとえ騙されたとは言え、「決して殺してはならぬ」と後から言ったところで、もはや取り返しがつかないことを痛感させられるはずです。
当初「今週で重忠も最期か」と予想していましたが、次週に延びてよかったというより視聴者にとって胸の苦しい一週間が引き延ばされたのでした。
いよいよ次週こそ二俣川(重忠最期の地)の決戦。心して見届けましょう。
※参考文献:
- 清水亮『中世武士 畠山重忠 秩父平氏の嫡流』吉川弘文館、2018年10月
- 貫達人『人物叢書 畠山重忠』吉川弘文館、1987年3月