「鎌倉殿の13人」畠山重忠ロス必至!鎌倉武士の鑑が魅せた壮絶な最期・第35回放送「苦い盃」予習【後編】:4ページ目
エピローグ
そんな悲劇の翌月、7月1日に合戦以来となる酒宴が催されました。和田義盛による椀飯振舞です。
去月合戰以後。始於營中。有盃酒之儀。和田左衛門尉献之。
※『吾妻鏡』元久2年(1205年)7月1日条
「まぁ呑もうぜ」
「あぁ……」
義時たちの酒はさぞ苦かったことでしょう。これが次週サブタイトル「苦い盃」の意味するところかと予想しています。
ところで重忠が討たれた元久2年(1205年)6月22日、未の刻(午後2:00ごろ)に“のえ(演:菊地凛子。伊賀の方)”が義時の五男を出産しました。
……今日未尅。相州室〔伊賀守朝光女〕男子平産〔左京兆是也〕。
※『吾妻鏡』元久2年(1205年)6月22日条
彼が後の左京兆、北条政村(ほうじょう まさむら)です。重忠と入れ替わるように世へ出てきた彼は義時からこよなく愛されたと言います。もしかしたら、重忠の魂が乗り移ったかも知れませんね。
ちなみに政村が生まれる10月10日前と言えば、元久元年(1204年)9月12日ごろ。その時点で妊娠したということは、それ以前から親密な関係を持っていた可能性が高く、前室の比奈(演:堀田真由。姫の前)が去ってから1年も経っていない計算です。
大河ドラマとはちょっと時間軸がズレますが、その辺りのご都合主義は大目に見てもらうとして、それより何より残念なのは重忠の死。
本作では第1回からずっと活躍してきたので、中川大志ファンはもちろん、感情移入してきた視聴者たちの大きなロスが予想されます。
しかし天網恢恢疎にして漏らさず。やがて時政・りく夫婦にもしっかり天罰が下るので、次週も心して見届けていきましょう。
【完】
※参考文献:
- 清水亮『中世武士 畠山重忠 秩父平氏の嫡流』吉川弘文館、2018年10月
- 貫達人『人物叢書 畠山重忠』吉川弘文館、1987年3月
- 細川重男『頼朝の武士団 鎌倉殿・御家人たちと本拠地「鎌倉」』朝日新書、2021年11月
トップ画像: 「鎌倉殿の13人」公式ページより