「鎌倉殿の13人」心を開きかけた頼家だが…第29回放送「ままならぬ玉」振り返り:3ページ目
合議制は形骸化、比企と北条の対立が深刻に
さて、景時・義澄・盛長そして出家した中原親能(演:川島潤哉)が相次いで抜けた結果、鎌倉殿の13人は早くも9人に。
「これからは、好きにやらせてもらう」
そう豪語する頼家に、比企能員(演:佐藤二朗)は釘を刺します。
「比企能員に万事お任せあれ。その上で、お好きになさるがよろしい」
合議制はもはや形骸化し、比企一族が鎌倉を牛耳ろうと野心をむき出しに。頼家の強がりつつも忸怩たる思いをにじませた表情が印象に残りました。
このままでは権力争いを止められないと危惧した義時と尼御台・政子(演:小池栄子)は、時政を国守に推挙させます。
「これで北条は名実ともに御家人の筆頭。比企にようやく一矢報いることができます」
そう比企への対抗意識を燃やすりく(演:宮沢りえ。牧の方)に対して、義時と政子が釘を刺しました。
「父上。国守へのお取り立てをお願いしたのは、御家人に範を示しこの鎌倉を守っていただきたいからです」
「比企がどうのとか、もう忘れて下さい」
ただの戯れ言と笑う時政とりくでしたが、これで収まる二人ではありません。
後に義時と政子、時政とりくの対立が深まっていくのですが、これがその幕開けとなっていきます。
鎌倉殿の呪詛を引き受けてしまう全成
「こうなったら、少々乱暴な手を使ってでも」
義時らに叱られて?も懲りないりくと時政は、娘婿の全成に頼家の呪詛を依頼しました。
「命まで取ろうとは思っていません。ただほんのちょっと、病に臥せっていただければいいのです」
そうすれば、北条方で抱え込んでいる千幡(せんまん。政子の子で、乳父は全成)を後継ぎに擁立できるチャンスが出てきます。
普通ならここで断ればいい話ですが、妻の実衣(演:宮澤エマ。阿波局)にいい暮らしをさせてやりたい一心で呪詛を引き受けてしまった全成。
事の重大さに呆然とする全成は、実衣が息子・阿野頼全(あの らいぜん)から届いた手紙を読んでくれても上の空です。
ところで、前に生まれた子供は嫡男(母親が実衣=阿波局と判明している子)の阿野時元(ときもと)ではなく頼全だったんですね。
全成には頼全より前に阿野頼保(らいほう/よりやす)・阿野頼高(らいこう/よりたか)という子(いずれも生母不明)を授かっていますが、この頼全は父親と同時期に殺されているため、大河ドラマ的には都合がよかったのでしょう。
ともあれ呪詛を始めたものの、例によって?あまり効き目がなく、りくから「この役立たず!」と叱られているのが哀れでしたね。
「怨敵退散かんまんぼろん、怨敵退散かんまんぼろん……」
怪しい人形(ヒトガタ)を実衣が見かけて、それを義時に話したことで呪詛が発覚(実衣は「小娘じゃあるまいし……」と、自分へのプレゼントだと思っていた模様)。
「余計なことはもうやめていただきたい!」
「比企と争う時は終わったのです」
むしろこれからが本番なのですが、果たして義時に止めることが出来るのでしょうか。
4ページ目 大真面目に頑張る頼時改め泰時、踏んだり蹴ったり奮闘中