江戸時代の貴重な忍術書に書かれていた変装術「七方出」や「忍者六道具」とはどんなもの?:3ページ目
忍びの必需品、忍び六具
俗に七つ道具といいますが、『萬川集海』には「忍び六具」が必要と書かれています。気になるその6つとは…。
①印籠…携帯用の薬入れ。傷薬、腹痛の薬、必要なら毒薬まで忍ばせていました。
②編み笠…日除けや風雨を避けるため、旅行時の必需品でした。更に顔全体を隠すことのできる深編笠や虚無僧笠などは好都合ですね。
③石筆…蝋を固めた筆記具で、現代でいうところのチョーク。味方に情報を伝える際に、いろいろな素材に文字や目印を書き残すことができました。また、矢立(墨壺と筆の携帯筆記具)も必需品でした。
④三尺手拭…三尺(約110センチ)の木綿の手拭。ピンと張れば丸腰で敵と戦う時の防具に、濡らして使えば鞭のようにしならせて相手を叩くこともできます。また、包帯や頬かむり、水のろ過など様々な用途に使えました。
⑤打竹(うちたけ)…竹筒の中に火種を入れたもので、ライターのように火をつけたり、懐炉として使いました。
⑥鉤縄(かぎなわ)…いかにも忍者っぽい唯一の道具かもしれません。縄の先に金属のフック(船の錨のような金属のフックが付いたものです。投げ縄の要領で放り投げ、屋根の上に登ったり堀を渡るときに使いました。また、振り回して鎖鎌として武器にしたり、捕縄術(ほじょうじゅつ)といって縄で相手を補足する道具として利用しました。
いかがでしたか?
次回は意外な人物が忍びの者だったのでは?という説をご紹介できればと思います。
参考:忍者の教科書-新萬川集海(笠間書店、伊賀忍者研究会/編)