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そうだったの!?ラジオ体操の発祥は実はアメリカ。日本で普及したきっかけは…

そうだったの!?ラジオ体操の発祥は実はアメリカ。日本で普及したきっかけは…:2ページ目

第一声は「気を着け!」だった

記念すべき第一回は、1928年(昭和3年)11月1日水曜日の午前7時。

東京放送中央局の電波で、号令はNHKの江木理一アナウンサーでした。放送初日の第一声は「気をつけ、ただいまからラジオ体操をはじめます」と号令調でしたが、それをたしなめられた様で、三日目からは「全国の皆さん!おはようございます…」と親しみやすい口調になったといいます。

そしてみんなで集まる「ラジオ体操会」は、なんと一人の警察官が発案して開始したものでした。1930年夏、東京の神田万世橋署の面高巡査が、気の緩みがちな夏に子供たちに早起きを奨励する目的で始めたのが最初だとか。

しかしラジオ体操は戦時中には国家総動員の手段として利用されます。1937年10月13日から1週間は「国民精神総動員強調期間」という名目で「国民朝礼の時間」の中で放送されました。国威発揚にラジオ体操が利用された影響について、過去の論文ではこのような見解も。

この運動は全国幾千万入の人々が同じ心を以て、同じ時刻に同じ運動を全く一斉に実行するのである。(中略) 天皇はもはや実際にその姿を国民の前に現す必要はな く、また国民ももはや群衆となって天皇の視線の下に集まらなくとも、めいめい自分の都合の良い場所で電波を受信しラジオによって送信される音楽と号令によって 、全国同時にラジオ体操を行うことによって、不可視で超越的な天皇の眼差しにそ の身体を差し出し、可視化され、規律化されることを可能にしたのであった

ちょっとややこしい言い回しですが、なるほど、ラジオという新しい媒体を通じて国民としての一体感が得やすかったということですね。

昭和時代に子供だった世代の人は、夏になればラジオ体操にでかけ、スタンプを押してもらった記憶があると思います。コンプリート欲や収集癖の強い傾向を持つ国民性と、うまくマッチしたのかもしれません。

参考:山下大厚(法政大学)ラジオ体操と国民国家(1999-10-01)

 

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