「鎌倉殿の13人」分裂する北条ファミリー、坂東武者の権力抗争…第26回放送「悲しむ前に」振り返り:4ページ目
分裂する北条ファミリー
かくして政子の決断により、次の鎌倉殿は比企派の頼家に。
時政「お前らには、がっかりだよ!」
政子「頼家は孫でございましょう。なぜ祝ってやろうという気持ちにならないのですか」
時政「ありゃもう比企にとられたようなもんじゃ!」
義時「……父上は北条あっての鎌倉とお考えですが、私は逆。鎌倉あっての北条。鎌倉が栄えてこそ、北条も栄えるのです」
北条だ比企だと言う前に、鎌倉をみなで支えなければ誰も立ちいかない。そうした公益の精神は、時政たちに理解してもらえません。
時政「意味が分かんねぇ!」
鎌倉の分裂(北条・比企両派の対立)を防ぐべく、政子は全成に「頼家を助けてやって下さい」と頼みますが、すっかりへそを曲げてしまった実衣は言い放ちます。
「結局、姉上は私が御台所になるのがお嫌だったんでしょう……悲しい。そんな人ではなかったのに。力を持つと人は変わってしまうのね……」
「悲しい」と言った時の全然悲しくなさそうぶり。皮肉屋というキャラクター設定をいかんなく発揮した絶妙の演技でしたね。
「そんな人ではなかったのに」……「どの口が言うか、お前の事だ!」と内心でツッコミを入れたのは、きっと筆者だけではないはずです。
このままでは鎌倉を比企にとられてしまう……血を分けた孫の家督相続を喜ぶどころか、その失脚さえ願ってしまう時政の変貌ぶり。
りく「頼家様は頼朝さまと違って気性が荒く、そして頼朝さまに似て女子(おなご)癖が悪い。いずれ必ずボロを出します。その時が本当の勝負」
時政「ボロを出さなかったら?」
りく「そう、仕向けるだけのこと」
不敵な笑みを浮かべるりく。『吾妻鏡』屈指の悪女・牧の方の本領発揮。これから面白くなりそうですね。
それにしても、第1回からずっと家族愛にあふれる北条ファミリーが、頼朝の死をキッカケに分裂してしまいました。果たして和解することが出来るのでしょうか。
終わりに
かくして次の鎌倉殿となった頼家。しかしその前途は多難。カリスマを喪った鎌倉は、暴れ馬のように走り出します。
義時「鎌倉殿の新しい鎌倉を、皆で築いて参りましょう」
義時「鎌倉殿は、何をどうすればいいか分からないんだと思います」
政子「ただ一つ、お願いがあるのですが」
時政「珍しく意見が合ったな」
りく「フフフ、面白くなってきました」
「……繋がった」
そう不敵に笑い、鞠を背後へ放る後鳥羽上皇(演:尾上松也)。これはラスボス感たっぷりですね。
次回放送は参議院議員選挙のため1週休止して7月17日(日)に放送。第27回のサブタイトルは「鎌倉殿と十三人」。ちょうど折り返しにきてのタイトル回収です。
御家人たちが繰り広げる、血で血を洗うバトルロイヤル……ますます面白くなりそうですね!
※参考文献:
- 『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 後編』NHK出版、2022年6月
- 『NHK2022年大河ドラマ 鎌倉殿の13人 続・完全読本』産経新聞出版、2022年5月