「鎌倉殿の13人」分裂する北条ファミリー、坂東武者の権力抗争…第26回放送「悲しむ前に」振り返り:3ページ目
「あなたには無理」実衣に言った政子の真意は
最愛の伴侶を喪う悲しみに耐える政子に対して、自分が次の御台所となることで頭がいっぱいだった実衣。
実衣「全成殿は、次の鎌倉殿になる覚悟をお決めになられました。父上も義母上も同じ考えです」
政子は「やめてちょうだい。まだ早いわ」と当然のリアクション。そりゃそうです。頼朝に「さっさと死んで交代しろ」と言っているに等しいのですから。
実衣「もしもの事を申してるの。その時は、私も御台所となって鎌倉殿をお支えしていくつもりです」
政子「あなたに御台所が務まるものですか!……あなたには無理です」
ちょっと言い方はきついかも知れませんが、政子の張りつめた精神状態で、笑みを浮かべながらそんなことを言われればピシャリと言ってやりたくもなるでしょう。
まぁ、それを差し引いても実衣に御台所は難しいでしょう。政子の言葉足らずを補うのであれば
「私が味わい続けてきた苦労をあなたにさせるのは、家族として耐えられない」
ということではないでしょうか。
ちょっと嫌なことがあればさっさと逃げてしまう実衣の姿は、第1回放送「大いなる小競り合い」からずっと見てきました(それはそれで嫌いじゃありませんが)。最初は政子も似たようなものでしたが、それでも耐え抜き、研鑽に努めてきた姿も見てきました。
もし実衣が真剣に「もし夫が鎌倉殿になったら、御台所として彼をお支えしたい」と政子に教えを乞う態度であれば少しは違ったのでしょう。
しかし実衣の「姉上にできたんですから、私だって」という態度は、政子が永年積み重ねてきた苦労をバカにしているとも思えてしまいます。
振り返ってみれば、北条家の中でもどこか半人前扱いだった実衣(例えば挙兵の計画を明かされなかった等)。もしかすると、心の底で姉たちを見返してやりたい思いがあるのかも知れませんね。
それにしても、御台所ひいては鎌倉殿って、そんなに魅力的なものなんでしょうか。
そこら辺にいる庶民や武士であれば「さぞいい暮らししてんだろうな」と妄想を膨らませもするでしょう。しかし御台所として姉がどんな苦労をしているか、実衣の立場なら察するくらいはできそうなものです。
にもかかわらず、なおも御台所に対する憧れがある辺り、よほど上辺しか見ていない証拠。政子ならずとも「あなたには無理(悪いことは言わない。辛いだけだからやめておけ)」と言いたくなってしまいますね。