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弁慶の一喝で虫もビビる!コオロギの鳴き声に我慢ならなかった武蔵坊弁慶の逸話【鎌倉殿の13人】

弁慶の一喝で虫もビビる!コオロギの鳴き声に我慢ならなかった武蔵坊弁慶の逸話【鎌倉殿の13人】

聞くところによると、ウソかマコトか虫たちの鳴き声を美しいと感じるのは日本人だけで、他の国や民族の方々にとってはノイズ(耳障りな雑音)でしかないのだとか(少なからず例外もいるでしょうが)。

虫の声は日本人にしか聞こえない!?日本人と世界の人々の虫の声の聞こえ方について【前編】

皆さんは「夏の終り」ってどんなことで感じますか?筆者の場合は例えば “カナカナカナ・・・”というヒグラシ(秋蜩)という蝉の鳴き声だったり、“リリリリリリリリリ”というコウロギの虫の声が聞こえて…

虫の声は日本人にしか聞こえない!?日本人と世界の人々の虫の声の聞こえ方について【後編】

筆者の場合は例えば “カナカナカナ・・・”というヒグラシ(秋蜩)という蝉の鳴き声だったり、“リリリリリリリリリ”というコウロギの虫の声が聞こえてくると、『ああ、夏がもう終わってしまう』と感傷的な気分に…

豊かな自然に四季折々の情緒を楽しんで来た日本人らしいと言えばらしいですが、どんなに美しい音色であっても、時に集中を妨げてしまうことは間々あるもの。

まして失敗できない重要な場面では、ほんの些細な音でも気になって仕方なかった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

今回は源義経(みなもとの よしつね)の家来として有名な武蔵坊弁慶(むさしぼう べんけい)のエピソードを紹介。豪傑を絵に描いたような弁慶ですが、意外に繊細なところもあったようですね。

コオロギの鳴き声がうるさ過ぎて……

時は元暦2年(1185年)5月、平家を滅ぼしたものの兄・源頼朝(よりとも)に鎌倉入りを拒絶されてしまった義経。

何とか誤解を解こうと、弁明の書状を政所別当の大江広元(おおえの ひろもと)当てに送りました。

義経が滞在していた地名(腰越の満福寺)から腰越状(こしごえじょう)と呼ばれたこの書状、その草案は弁慶が書いたと言います。

「えーと、『左衛門少尉源義經乍恐申上候(意訳:左衛門少尉・源義経、恐れながら申し上げそうろう)』……と」

すると、弁慶の耳元でコロコロ……とコオロギたちの元気な鳴き声が響き渡りました。

「まったくうるさいのぅ……いかんいかん、集中しよう。『義經無犯而蒙咎 有功雖無誤 蒙御勘氣之間 空沈紅涙(意訳:義経は罪もないのに咎められ、手柄こそあれ過ちはないのにお怒りを受けた悔しさに、血の涙を流しております)』……これでどうじゃろう」

頑張って書き進める弁慶ですが、どうにもコオロギの声が耳障りで堪りません。

「うぅむ、『不被糺讒者實否 不被入鎌倉中之間 不能述素意 徒送數日(意訳:私を陥れようとする者に事実確認もせず、鎌倉にお入れ下さらないため真実を申し上げることもかなわぬまま、いたずらに数日を送るばかり)』……ぐぬぬ」

義経への同情に心乱され、更にはコオロギの鳴き声がよほどうるさかったのか、弁慶の執筆は難航したようです。

2ページ目 ついに堪忍袋の緒が切れた弁慶

 

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