弁慶の一喝で虫もビビる!コオロギの鳴き声に我慢ならなかった武蔵坊弁慶の逸話【鎌倉殿の13人】:2ページ目
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「うるさい!」
ついに堪忍袋の緒が切れた弁慶は、境内じゅうに響き渡る大音声で一喝。さすがのコオロギも恐れをなしたのか、鳴き声がピタリとやみました。
「……解ればよろしい」
こうして弁慶は集中力を取り戻し、無事に「腰越状」を書き上げたということです。しかし、義経はじめ他の家来たちも「すわ何事か」と驚いたことでしょう。
終わりに
それからと言うもの、弁慶に叱られるのが恐ろしいからか、満福寺の境内ではコオロギが一切鳴かないということです。
……という伝承があるものの、コオロギが鳴き始めるのは8月中旬、旧暦では7月中旬ごろからと言われています。義経が「腰越状」を提出したのが5月24日(新暦では6月下旬)ですから、ちょっと早すぎるのではないでしょうか。
真偽はともかくとして、それだけ弁慶の一喝は恐ろしかったということなのでしょう。もし機会があったら秋の夜長にお邪魔して、本当にコオロギが鳴いていないかチェックしてみたいですね。
※参考文献:
- 神谷道倫『深く歩く 鎌倉史跡散策 下 改訂増補版』かまくら春秋社、2012年12月
- 神奈川県高等学校教科研究会社会科部会歴史分科会 編『神奈川県野歴史散歩 下 鎌倉 湘南 足柄』山川出版社、2005年5月
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