呪術を駆使して疫病退散!古代日本人を苦しめた、現代にも通じる恐るべき感染症との戦い

おそるべき天然痘

今回は、古代日本の疫病について取り上げてみます。

今の時代から見れば、病気の治療法や予防法も確立されておらず、ちょっとした怪我や病気で命を落とすこともあった古代日本。

そんな時代の日本人の、疫病との戦いについて思いを巡らせてみましょう。

古代日本に大きなダメージを与えた疫病のひとつに天然痘があります。

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有史以来、もしくはもっと以前から、人類とウイルスや細菌は地球上で共存してきた。ウイルスや細菌は時として感染症や伝染病として人類に牙をむき、多くの命を奪ってきた。「天然痘(てんねんとう)」はその代表的な…

天然痘は発症すると高熱、身体の内外に発疹が生じ、致死率は30~50パーセントにも及ぶという恐ろしい感染症です。

天然痘がいつどこから日本にやってきたのか確かな記述は見つかっていませんが、奈良時代に唐や渤海、新羅などの大陸との交流が始まり、その時派遣した使節団が日本に帰国した際に持ち込まれたという説が有力とされています。

なぜこの説が有力かというと、このころに天然痘の大流行が起こったことが記録に残っているからです。

天然痘の対策としては、第一に、原因である天然痘ウイルスを体に入れないことと予防のワクチンが非常に効果的ですが、当時は感染予防の概念は確立しておらず、またワクチンも発見されていませんでした。では、奈良時代の人々はどのようにしてこの天然痘に立ち向かったのでしょうか。

当時、すでに医療の分野として内科や外科、耳鼻科、鍼灸、按摩などがありました。現代と違うのは、これに加えて呪術、つまりまじないが医療の一つとして成立していたことです。

2ページ目 呪術を駆使して疫病に対処

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