お寺に行くと、門前にこんな石碑を見かけることはないでしょうか。
「禁葷酒」
他にも「葷酒禁入山門」「不許葷酒入門」などのバリエーションがあり、禁という文字から何かを禁じているのは分かりますね。
しかし葷って何でしょうか。軍に草かんむり……あまり見慣れない漢字ですが、どういう意味なのでしょうか?
精がつくけど煩悩のもとになるもの
草かんむりに軍……この漢字は葷(くん)と読み、辛味や臭気など刺激の強い野菜を指します。
特に大蒜(ニンニク)・韮(ニラ)・葱(ネギ)・辣韮(ラッキョウ)・野蒜(ノビル)の5種類を五葷(ごくん)または五辛(ごしん)と呼ばれました。
つまり冒頭の石碑は「酒やネギ、ニンニク類の持ち込みを禁止する」という意味になります。
僧侶の酒がダメというのはよく聞きますが、ネギやニンニク類はなぜダメなのでしょうか。
これらの野菜は精がつくことで知られ、具合の悪い時など食事に採り入れて体力を回復させた方も少なくないでしょう。
しかし精がつくということは、一方で性欲や攻撃性が高まるなどの副作用もあります。
仏道においてそうした煩悩は修行の妨げとなるため、酒と同じく持ち込みが禁じられたのでした。