狭くても殿の近くに…利益より豊臣秀吉への忠義を重んじた武将・石田三成のエピソード
皆さんは、仕事をする時に何を最も重視しますか?
「そりゃ給料に決まっているでしょ!」
という方は多いと思われますが、給料以外にも勤務地や勤務時間、福利厚生や仕事そのもののやりがいなどを挙げる方も少なくないでしょう。
そういう仕事に対する様々な価値観や思いは今も昔も変わらなかったようで、今回はそんな一例として、石田三成(いしだ みつなり)のエピソードを紹介したいと思います。
狭くても、殿の近くに……転封に不満な三成
石田三成は幼少時から利発さで知られ、羽柴秀吉(はしば ひでよし。豊臣秀吉)に見込まれてその小姓として活躍しました。
自分を見込んでくれた秀吉に報いようと精進した三成は順調に出世し、やがて近江国佐和山(現:滋賀県彦根市)に19万4千石の所領を得ます。
それでも驕ることなくますます奉公に励んだ三成に、秀吉は更なる加増を打診しました。
「のぅ佐吉(さきち。三成の通称)よ、そなたに筑前筑後の両国(現:福岡県)を与えようと思うが、どうじゃ?」
筑前国と筑後国……その二ヶ国を合わせれば、石高はおよそ37万石。現在のほぼ2倍という破格の厚遇です。
秀吉がいかに三成を可愛がっていたかよく解りますが、三成はこれをキッパリと断ってしまいます。
「お断り申す」
「何じゃと!?」
これだけ手厚くしてやろうと言うのに、喜ばないどころか断るとはいったい何様じゃ……秀吉は俄かに機嫌を損ねてしまいました。
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