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そうだったの?江戸時代 スグに出来ると思ってた?吉原遊郭で遊女と寝るためのしきたりと、そこに込められた意味

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遊女たちへのリスペクト

以上、一見さんが吉原遊郭で遊女と寝るまで三夜がかりのプロセスを紹介しましたが、これはすべての店、すべての遊女がそうだった訳ではなく、よほど惚れ込んだお客であれば初会の晩に床入りした例や、また時代が下るにつれて簡略化していったそうです。

(遊女によっては、あまりお高くとまっていたら、客がつかない事情があったのかも知れません)

それにしても、このお見合いのような回りくどいしきたりが何故生まれたのかと言いますと、客の質(経済面や人格面など)を確保する目的に加え、遊女に対するリスペクトがありました。

現代の風俗産業でもそうですが、性を売る女性というのは、そのほとんどが好き好んで(好奇心など)ではなく、経済的困窮から苦界に身を投じています。

故郷で飢えに苦しむ両親や兄弟たちを助けるため、女衒(ぜげん。遊女専門の人買い)に我が身を売って江戸・吉原へとやってきた女性たち……そんな事情を知っているからこそ、性を買う男性側も、遊女たちを蔑んで扱うようなことはありませんでした。

(もちろん例外はいたでしょうが、カネにモノを言わせて遊女たちを侮辱するような手合いは、誰からも相手にされなかったことでしょう)

だからこそ、遊女の中には身請けされて客と結婚する事例も少なからずあり、これは娼婦(売春婦)を堕落した存在として軽蔑する西洋人にとって不思議でならなかったと言います。

どんな世界にいようとも、惚れた相手と結ばれたいもの……美談ばかりじゃ生きてはいけない苦界ですが、どれほど大金を積もうと、心までは買えません。

人間の欲望が渦巻く遊郭だからこそ、せめて二人の絆にだけは(たとえお芝居であっても)純粋さを求めたい。そんな願いが込められているように感じられます。

吉原遊廓についてのそのほかの記事

※参考文献:
安藤優一郎 監修『江戸の色町 遊女と吉原の歴史』カンゼン、2016年6月
小野武雄『吉原と島原』講談社学術文庫、2002年8月
小林よしのり『ゴーマニズム宣言SPECIAL 大東亜論 巨傑誕生篇』小学館、2014年1月

 

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