大河ドラマ「鎌倉殿の13人」佐藤浩市の熱演に期待!上総介広常の強烈なキャラクター【上】:3ページ目
頼朝公の将器に惚れ込む
「……今さら、どの面下げてやって来た」
なんと頼朝公は、自分の20倍以上もの援軍を拒絶してのけました。もしここで広常の損ねてしまえば、一気に包囲殲滅されてしまうのは間違いない状況下にもかかわらず、です。
「あの小童……!」
かつて石橋山で大庭景親(おおばの かげちか。三千騎)如きに惨敗させられた分際で、我らが二万騎を軽んずるとは……大いに腹を立てた広常ではありましたが、その一方で感心もしていました。
「君主たるもの、臣下の忠勤は当然として受け入れるべきであり、功績の大きさ(ここでは二万騎の加勢を率いてきたこと)にいちいち喜んでいるようでは、武家の棟梁として天下に号令するなど夢のまた夢……」
ここで武力まかせに踏みつぶしてしまうには、あまりにも惜しい将器……すっかり頼朝公に惚れ込んだ広常は、平身低頭して遅参したことの詫びを入れ、その末席に加えてもらいます。
広常が頼朝公に味方したことで、坂東各地の武士団は頼朝公の勝利(少なくとも、滅ぼされることなく坂東に勢力基盤を築いて身分を保証してくれること)を確信し、こぞってその傘下に身を投じたのでした。
※参考文献:
上杉和彦ら『戦争の日本史6 源平の争乱』吉川弘文館、2007年3月
細川重男『頼朝の武士団 将軍・御家人たちと本拠地・鎌倉』洋泉社、2012年8月