なんと美しい!新聞の付録として絵師・月岡芳年が描いた徳川慶喜の正室・美賀君の浮世絵を解説:2ページ目
牡丹と岩
美賀君の背後に牡丹と岩が描かれています。
牡丹の花は“百花の王”とも言われ、別名「富貴花(ふうきばな)」「皇(すめらぎ)花」とも呼ばれ、富貴の象徴として親しまれています。
牡丹をモチーフとして使う時、人々はそこに“豊かさ”をイメージします。それは富や地位、名誉と言ったものだけではなく、“心の豊かさ”をも含むのではないでしょうか。
美賀君とともに描かれるのに相応しい花と言えます。
“岩”に関してですが、筆者はこれを“さざれ石”ではないかと思います。“さざれ石”とは本来は小石という意味です。その小石が長い年月を経て集まり小石の塊の“岩”になる。
『君が代』の“さざれ石の巖をとなりて”の部分に重なりますが、それは特に“天皇”を指すものではなく、徳川家の末長い繁栄を表現するものだと筆者は思います。
美賀君の衣装
純白の小袖は清純、清廉を意味しており、穢れのないこと、そして現代で言うところの“貴方の(または貴方の家風の)色に染まります”を意味しています。
そして一番重要なのは打ち掛けや帯の模様に表されています。