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独占欲強すぎ!日本神話で活躍した荒ぶる英雄「スサノオ」の愛妻ぶりを紹介

独占欲強すぎ!日本神話で活躍した荒ぶる英雄「スサノオ」の愛妻ぶりを紹介

エピローグ

何はともあれ、めでたく妻をめとったスサノオですが、本来の姿に戻ったクシナダヒメがあまりに美しすぎて、道ゆく誰もが恋焦がれてしまうため、新居を八重垣(やゑがき。多くの垣根)で囲い込み、人目につかないよう隠してしまいます。

【原文・古事記】夜久毛多都 伊豆毛夜幣賀岐 都麻碁微爾 夜幣賀岐都久流 曾能夜幣賀岐袁

【原文・日本書紀】夜句茂多菟 伊弩毛夜覇餓岐 菟磨語昧爾 夜覇餓枳都倶盧 贈廼夜覇餓岐廻

※同じ万葉仮名でも、『古事記』と『日本書紀』で違いを比べると楽しいですよね。

【読み下し】八雲(やくも)立つ 出雲八重垣(いづも やゑがき) 妻籠(つまごみ)に 八重垣作る その八重垣を

【意訳】これまで湧き起こる多くの雲を垣根がわりにしていたが、それだけでは妻の美しさを隠せない。妻が決して奪われぬよう、垣根を作るのだ……たくさんたくさん作るのだ!

これが日本で初めての和歌と言われますが、ただでさえ「とてもたくさん」を意味する八重垣を三度も繰り返す辺りに、スサノオの強烈な独占欲が察せられます。

(実際どのくらいの八重垣で囲まれていたのか、ちょっと見てみたい気もしますね)

ここまで徹底的に溺愛されて、クシナダヒメは幸せだったのか、それともいささか重さを感じていたのか、出来れば前者であって欲しいところです。

※参考文献:
蓮田善明『現代語訳 古事記』岩波現代文庫、2013年9月
宇治谷孟『全現代語訳 日本書紀(上)』講談社学術文庫、1988年6月
戸部民夫『八百万の神々 日本の神霊たちのプロフィール』新紀元社、1997年12月。
吉野裕子『山の神 易・五行と日本の原始蛇信仰』講談社学術文庫、2008年8月

 

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