京都に残る旧色街「五条楽園」。ディープな遊郭・お茶屋の街からレトロで個性あふれる街へ【その1】:2ページ目
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「以前は遊郭だったんですよ」に、驚く若い世代も
いま、五条楽園は雑誌やSNSなどのメディアで注目されています。そのほとんどが、元花街の風情と貴重な建築物を残す、懐かしくもお洒落な街……というイメージです。
でも、それだけでは京都のディープな文化を語り継ぐことはできません。先日も五条楽園の変貌が気がかりになり、立ち寄った際、高瀬川沿いに残る旧置き屋「本家 三友」の前でこんなことがありました。
自転車に小さな子供を乗せた20代とおぼしき若い夫婦が、その置き屋をしげしげと眺めていたのです。
写真を撮っている私に「このあたり、えらい風情がありますけれど、いったい何だったんですか」と尋ねてきました。
「この界隈一帯は遊郭だったんですよ」と答えると、驚いたように「京都で生まれて30年近くになるけど、全然知らなかった」としきりに感心していました。
いまや日々、街は変貌していきます。その街の歴史や風俗の痕跡が急ピッチで消えていくといってもよいでしょう。それは、古都京都においても決して例外ではありません。
次回は、そんな五条楽園の闇の部分へご案内しましょう。
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