現代なら炎上必至!日本各地のお国柄をまとめた「六十六州人国記」が毒舌すぎる【中四国&九州編】:4ページ目
高知県(土佐国)
土佐の人々は一本気で素直な性格。土佐、長岡、吾川郡は特にその傾向が顕著である。
性格の良さは土地柄ゆえなのか、鳥獣にいたるまで性格がよく、猿も芸を仕込みやすい。
誰もかれもがよい性格と好評価なのに、褒められた気がしないのは、きっと最後の「猿も芸を仕込みやすい」という余計な一言のせいでしょう。
褒めながら相手を不愉快にするというのは、作者ならではの芸当ではないでしょうか。
福岡県(筑前国、筑後国)
【筑前国】
九州には珍しくチャラ男の多い国で、勇気がない訳でもないけど、ここ一番の根性もないので大成しない。
千人いれば七、八百人が酒や女を好み、総じて然るべからざること甚だしい。【筑後国】
筑前と違って十人に八人くらいの割合で誠実な者がいるが、下賤の者は身分相応に卑しい振る舞いが多い。
両国で評価が極端に分かれるのは、面している海(筑前が玄界灘、筑後が有明海)が違うためでしょうか。
基本的に作者は「武士たるもの、酒と女に溺れるなどけしからん!」と思っているようですが、こういう人に限ってムッツリだったりするのはお約束です。
佐賀県&長崎県(肥前国、壱岐国、対馬国)
【肥前国】
肥前は勇猛な気風の国で、義のためなら何者にも怯まず、百人いれば九十九人はそうである。臆病者を見かけるのは非常に珍しく、武士ともなれば尚更である。
君主は家臣や領民をいたわり、家臣や領民は主君を敬愛し、忠義のためなら命を惜しむことはない。
でも、言葉遣いは汚らしく、知性も劣っている。こんな感じで信州に似ているが、一致団結すれば信州でも敵うまい。【壱岐・対馬国】
どっちも遠島だけど、大隅・薩摩の両国よりはるかに華やかである。ただし、人々は気弱な性格でだらけがち。
なぜここで信州と比べる?と思ってしまうくらい唐突でしたが、作者お気に入りの信州を上回る国が登場して驚きです。
しかし、あまりにも美化しすぎで、本当に100人中の99人が勇気を実証したのか?と勘ぐってしまいます。本当に、作者は当地でどんな接待を受けたのでしょうか。
ちなみに、壱岐国と対馬国をまとめて紹介しているのは原文通りで、また、華やかさについては当地を褒めているのではなく、大隅国と薩摩国を「遠島よりも華がない」と貶したい本音が、行間から滲んでいます。