現代なら炎上必至!日本各地のお国柄をまとめた「六十六州人国記」が毒舌すぎる【中四国&九州編】:3ページ目
徳島県(阿波国)
おおむね心身健やかで、十人いれば七、八人は知性があって気配りもできる。
しかし、頭が良すぎて奇抜な振る舞いに及ぶこともある。それでも強盗などを働くような卑しさはなく、武士も高潔で胆力がある。
三好、麻植、名東、名西郡の者たちは一流だが、勝浦、那賀、板野、阿波、美馬郡の者たちは少し頼りない。
いったいあの作者が、現地でどんなおもてなしを受けたのかと思うくらい、めちゃくちゃ褒めちぎっています。
何なら作者お気に入りの信州(信濃国)以上に高評価みたいですが、頭が良すぎるゆえの奇抜なエピソードも書いて欲しかったところです。
香川県(讃岐国)
惰弱な性格で、百人いれば半分は悪賢い。とりわけ武士たちは諂(へつら)い者が多く、おべっかで取り入って出世しようと企むのは、噂通りである。
本当にそんな噂があったのか判りませんが、短くバッサリと散々な評価。
せめて裏付けとなるようなエピソードの一つも欲しいものですが、実際にそのような振る舞いの武士がいたなら、より詳しく記録されていそうにも思います。
愛媛県(伊予国)
昔から海賊がのさばっており、海上交通に支障を来している様子は噂通り。今でも徒党を組んで海賊稼業で身を立てる輩が多く、関東の強盗に並ぶ名物?となっている。
武士たちは凶暴で手ごわいが、武士道精神はなく、思慮分別に欠けるため暴走の挙げ句自滅しがち。
作者も海賊のために難儀したのでしょうか。まるで見て来たような書きぶりになっています。
武士道精神の有無が思慮分別につながるという価値観が鎌倉時代にあったとは思えませんが、現代に伝わる「伊予の駆け出し」を思わせる荒くれ者ぞろいだったようです。