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源頼朝の遺志を受け継ぎ武士の世を実現「鎌倉殿の13人」北条義時の生涯を追う【二】

源頼朝の遺志を受け継ぎ武士の世を実現「鎌倉殿の13人」北条義時の生涯を追う【二】

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源頼朝の遺志を受け継ぎ武士の世を実現「鎌倉殿の13人」北条義時の生涯を追う【一】

令和四(2022)年に放送予定の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で主人公を務める北条義時(ほうじょう よしとき)。源頼朝(みなもとの よりとも)公の妻として強烈なエピソードを残した姉の北条政子(ま…

時は平安末期の治承四1180年、驕り高ぶる平家政権に叛旗を翻した「以仁王(もちひとおう)の乱」が勃発。

乱はほどなく鎮圧されたものの、全国各地に生き残っていた源氏を討伐するよう命令が下され、それは伊豆国(現:静岡県伊豆半島)に流罪となっていた姉婿・源頼朝(みなもとの よりとも)も例外ではありません。

身内を見捨てては武士の名折れ……そこで北条義時(ほうじょう よしとき)は父・北条時政(ときまさ)、兄・北条宗時(むねとき)と共に頼朝の挙兵に加勢するのでした。

挙兵は8月17日。頼朝から「大切な話」が……。

さぁ、頼朝に味方すると決まった以上、一刻の猶予も許されません。大急ぎで坂東各地に散らばっている源氏の残党や累代の家来たちに声をかけて回り、兵や武具、兵糧などを掻き集めるために必死で駆けずり回りました。

「戦うからには、万全を期する!」

手始めに目代(もくだい。代官)である山木判官兼隆(やまき ほうがんかねたか)の襲撃を決めた頼朝は、右筆(ゆうひつ。秘書)を務める藤原判官代邦通(ふじわらの ほうがんだいくにみち。通称:藤判官代)を、山木邸へ遊びに行かせます。

「どもども、藤判官代で~す!」

「おぉ、来たか、待ってたぞ!」

ちょうど山木邸では酒宴が開かれていたのでナチュラルに溶け込み、場を盛り上げながら数日間にわたって滞在。家人の隙を狙って屋敷の間取りや人員配置などをすっかりスケッチさせ、これが攻略を大きく助けるキーアイテムとなったのでした。

この藤判官代、元は京都の遊び人で、有職故実(ゆうそくこじつ。古典的な教養)をはじめ絵画や占い、文筆など様々な才能に恵まれていたため話題の引き出しに事欠かず、また人懐っこい性格だったようで、スパイにはうってつけの逸材だったようです。

とは言っても、頼朝が挙兵する噂くらいは聞き知っていたでしょうに、その頼朝に親しく仕えている藤判官代に対してこの腋の甘さ……兼隆の危機意識にも、ちょっと問題があったように思います。

さてそんな中、藤判官代の占いによって「挙兵は8月17日、寅卯(とらう)の刻が吉」と出ました。

寅卯の刻とは、季節によって微妙な違いはあるものの、ざっくり午前3:00~5:00ごろ。要するに「夜明け前の、徹夜組は眠気がたまり、就寝組もまだ目が覚めにくい絶妙な時間を狙えば有利だよ!」と言ったところでしょうか。

いよいよ初陣だ……そわそわしている宗時と義時のところへ、父・時政がやって来ました。

「おい。佐殿よりそなたらに、重要な話があるそうじゃ……ひとりづつ行って参れ」

いったい何の話だろう……先に行った宗時の背中を見送りながら、義時は無性にドキドキしてきました。きっと武者震いです。そうに違いありません。

2ページ目 「お前にだけは言っておく……」頼朝の告白

 

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