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なんと毒見は3回も!?一生ずっと”冷や飯”を食わされ続けた江戸幕府の将軍たち【上】:2ページ目
【0:40~1:30 炭火で温め直し~第2回目の毒見まで】
さて、第1回目の毒見をクリアした9人前の料理は、江戸城内の長い長い廊下をしずしずと、10分ほども運ばれるそうです。
この時点で料理が出来上がってから50分も経過しており、当然すっかり冷めてしまったので、必要な(本来は温かくあるべき)料理は炭火で炙って温め直します(所要時間:約10分)。
が、いかんせん炭火なので中までしっかり温められず、表面が乾くばかりで、水分と香りが飛んでパッサパサに。
そんな残念な状態になってしまった料理を、女性の役人が1人で1膳を食し、第2回目の毒見を実施。さっきは2人でシェアしたので、毒も半分になった(ため、異常が出なかった)可能性があり、今度は1膳丸ごと食べた場合の様子を見ます。
そして四半刻ばかり待って何事もなければ、ここでも料理に毒は盛られていないと判断。残り8人前となった料理たちは、しずしずと次の段階に進むのでした。
【1:30~2:00 第3回目の毒見、ようやく将軍の口へ】
第2回目の毒見が終わると、すっかり時間が経って盛りつけが崩れてしまう事もあるため、ここで再点検を実施します(所要時間:約10分)。
空気中のホコリがついていないか等もしっかりチェックして、又しても長い長い江戸城内の廊下をしずしずと運ばれて(所要時間:約10分)、いよいよ将軍の座敷に到着。
やっと届いた。さぁ頂き……たいところですが、ここで3度目の毒見。小姓2人が文字通り「主君の楯」となるべく1人1膳ずつ食べて様子を見ますが、料理を目の前にしながら30分もお預けを食わされてはたまりません。
10分ほど待って小姓たちに異常がなければ「もう大丈夫」と言うことで、ようやく将軍が冷や飯にありつけるという塩梅だったそうです(残った5人前の膳は、他の役人たちが食べました)。
ここまでで実に2時間が経過しており、もう料理は冷め切ってパサパサ。味もへったくれもありゃしない、これでは「秋刀魚は目黒(≒焼きたて)に限る」と豪語するのも無理はありません。
ちなみに、これほど慎重に万全を期して食べる将軍の料理とは、一体どのようなメニューなのでしょうか。
【続く】
※参考文献:
杉浦日向子『一日江戸人』新潮文庫
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