
人魚を食べた娘は800歳まで生きた!?人魚伝説「八百比丘尼の物語」の始まりは若狭国から
何年経っても年を取らない娘は世を儚んだ
娘が人魚の肉を食べて数年経過しました。しかし、娘は年を取らないどころが美しさに磨きがかかっていきます。周りからもおかしいと噂されるようになった権太夫一家。
家族の中で話し合いが行われて、権太夫が持ち帰った人魚の肉が原因ではないかと気づきました。不老不死を得てしまった娘は、周りの人たちを看取りながら世の儚さを悟るようになります。
120歳になった娘は剃髪して尼になり、全国へ旅に出るのです。見たこともない場所での旅は刺激がありましたが、それでも娘の空虚感は埋められません。
故郷に戻った娘は800歳まで過ごし、空印寺(福井県小浜市小浜男山の寺院)にある洞窟に入定しました。※入定とは、生きながら仏になる修行のこと
洞窟の入り口にある椿を見て、「この椿が枯れないうちは私も死なない」と言い残して洞窟へ入っていきます。洞窟は何度か起こった落石で荒れたそうですが、今でも椿の花が咲いていることから、八百比丘尼の空虚感に椿が寄り添っているのかもしれませんね。
参考書籍:実録怪談 幕末の怖い話
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