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反省してるの?平安時代の貴公子・在原行平が謹慎中にナンパした美少女姉妹の恋物語【上】

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姉妹に「松風」「村雨」と名づける

文徳天皇の勘気をこうむった謹慎はどうしたんだ、ちゃんと反省しているのか、とツッコミたくなりますが、そんなお小言が耳に入るようなら、勘気をこうむるような失態もなかったでしょう。

何はともあれ藻塩と小藤は姉妹そろって行平に惚れ込んでしまい、三人仲良くイチャイチャするのですが、そんなある日、行平が言いました。

「あなた方の名前だが、藻塩と小藤ではイマイチこう……何と言うか、華がない。そこで藻塩、君は松風(まつかぜ)と、小藤は村雨(むらさめ)と呼ぶことにしよう」

人の名前にケチをつけるとは無礼千万な話ですが、「恋は盲目」とはよく言ったもので、彼女たちは新しくつけてもらった名前に大喜びです。

「嬉しい!行平さまに名前をつけて頂けるなんて……『松風』……なんて素敵な響きでしょう」

「もう私、今日からお父様たちにも『村雨』と呼んで頂きますね!」

ちなみに、松風とは松の枝に吹きつける風を、村雨とは叢雨(群れる雨)とも書くように強いにわか雨を言います。慎ましい姉にはサラサラと静かな浜辺の風を、積極的で少しムラ気な妹には激しい通り雨の名前をつけたのかも知れません。

松風と村雨……美少女姉妹に新しい名前をつけることで「俺のモノ」宣言を果たした行平は、それからも須磨の地で三人仲良く暮らすのですが……話はもうちょっとだけ続きます。

【次回に続く】

※参考文献:
田辺眞人『歴史の須磨』神戸新聞総合出版センター、1982年3月
森田悌『続日本後紀 全現代語訳 上下巻合本版』講談社学術文庫、2017年4月

 

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