反省してるの?平安時代の貴公子・在原行平が謹慎中にナンパした美少女姉妹の恋物語【上】:2ページ目
浜辺でゲットした美少女姉妹
「あの……素敵な音色ですね」
引っ込み思案な姉に先んじて、妹が行平に声をかけました。
行平が弾いていたのは、浜辺に流れ着いた板切れと一本の弦から自作したシンプルな琴で、後に地名をとって「須磨琴(すまごと)」などと呼ばれ、現代まで伝わっています。
「……あなたは?」
久しぶりに女性と言葉を交わした行平は、その声も心なしか張りを取り戻しました。
「私はこふじ(小藤)と言います。それで、こちらは姉のもしほ(藻塩)です」
「……どうも、藻塩です」
聞けば近くの多井畑(たいのはた。神戸市須磨区)に住む村長の娘だそうで、汐汲み(海水=塩の調達)に来たとの事でした。
見れば海水に濡れた前髪が艶めかしく、田舎娘とは思えない美貌にハッとした行平は、少し気後れしてしまいます。
「これは申し遅れました。私は在原行平と申します。須磨へは……療養で来ております」
美少女の前だったので、ちょっと見得を張った行平でした。
「あら、それはお大事になさって下さいまし……」
イケメン貴公子に病弱要素が加われば、純粋な少女たちの気を惹くのは容易いこと……都では(弟・業平ほどではないにせよ)プレイボーイとして鳴らした行平は、須磨の美少女姉妹を見事にゲットします。