鹿のため死刑になった逸話も。奈良の鹿って誰が管理してるの?あまりにも当たり前の光景で…:3ページ目
鹿寄せ
明治から始まった行事で、現在の鹿苑と呼ばれる公園ができた記念に行われたのが始まりだそう。職員がホルンで呼び寄せると、鹿達がわらわらと集まってきます。ちなみに鹿の通り道を「鹿道」と呼ぶそうです。鹿達も、やみくもに歩いているわけではないのですね。
鹿達は実は常時餌を与えられているわけではなく、公園内のどんぐりや芝などを食べてくらしているので、冬になるとこの鹿寄せで呼び寄せ、餌をあげることも目的なのだそう。ちなみに鹿がかたまって寝そべっている様子を「鹿だまり」といいます。夕方になるとどこからともなく集まりねぐらと化しています。夏だと、暑い日差しを避け寄り集まっていることがあるので、観光名物になっています。
鹿の糞はどうしてる?
現在鹿の数は約1300頭。これらの糞は大変な量になるはず。しかし愛護会の方が掃除しているわけではなく、公園内のコガネムシなど昆虫が食べているそう。公園内で小さな生態系ができあがっているんですね。ちなみに人の手で行うと年間百億円もの予算が必要になるのだとか。昆虫さまさまですね。
職員も鹿の糞を利用した堆肥を販売し餌代にしたり、近くの万葉植物園に無料で提供しているのだとか。
奈良の鹿は人の手がかかっていますが、あくまでも野生です。この人間と野生の不思議な関係がずっと続くといいですね。
参考文献:『奈良 鹿ものがたり』中村文人、佼成出版社