どんな美女にもまさる姫君!「源氏物語」ヒロインで極度のコミュ障・末摘花の恋愛エピソード【三】:2ページ目
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ところで「末摘花」って?
美女と見れば手が早く、それでいてアフターケアの疎かになりがちなプレイボーイですが、一度でも情を交わした相手を決して見捨てない優しさこそ、光源氏の魅力の一つ。
(……まぁ、そのせいでトラブルも絶えないのだけれど。あの貴公子サマは)
大輔の命婦が苦笑すると、くしゃみが一つ、どこかで聞こえたような気がします。
「ところで、姫君を『末摘花』と呼んだけれど……?」
末摘花とはベニバナの古称。染物の原料として知られるこの花は、花弁(先端=末)を(摘み取って)使うことから、そのように呼ばれました(染物の原料に花弁そのものを使う例は意外に少ない)。
「末摘花……紅花……赤い花……はな……鼻……」
(もうっ、あの人は!)
思わぬダジャレに内心苦笑、またどこかで、くしゃみが一つ。
ともあれ姫君への経済支援を取りつけた大輔の命婦は任務完了、まずはめでたしと言ったところですが、話はこれで終わりませんでした。
※参考文献:
田中順子・芦部寿江『イメージで読む源氏物語〈4〉末摘花』一莖書房、2002年8月
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