古典落語「ちはやふる」の見事なまでのこじつけ!知ったかぶりもここまで来れば面白い:3ページ目
終わりに
こうして、どうにかその場を切り抜けたご隠居でしたが、その解釈は場当たり的で、文脈もかなりねじれています。
【ご隠居の解釈】
千早に振られ 神代にも聞き入れられなかった 竜田川
おからをやらないで とわ(落ちぶれた千早)に水をぶっかけた
この強引なこじつけを口八丁で押し通すご隠居の必死さと、素朴ながら鋭いツッコミを入れる八っつぁんとの掛け合いが本作の面白みであり、また、平安時代の和歌に花魁や近世的な力士が登場する点も可笑しみを誘います。
まったくとんだ「知ったかぶり」でしたが、古典への誤解・誤訳が新たな作品を生み出すのもまた一興。試験に出る訳でもありませんから、100%正解でなくても「諸説」の一つとして大らかに楽しむのがいいでしょう。
※参考文献:
大阪府立上方演芸資料館 編『上方演芸大全』創元社、2008年11月1日