三国志ファンなら絶対見たい!幻の歌舞伎十八番の一つ「関羽」とはいったいどんな物語なのか?
歌舞伎十八番と言えば「暫(しばらく)」「勧進帳(かんじんちょう)」「助六(すけろく)」で有名ですが、十八番と言うからには他にも十五番がある訳で、そのリストはこのようになっています。
「外郎売(ういろううり)」
「嫐(うわなり)」
「押戻(おしもどし)」
「景清(かげきよ)」
「鎌髭(かまひげ)」
「関羽(かんう)」
「解脱(げだつ)」
「毛抜(けぬき)」
「蛇柳(じゃやなぎ)」
「象引(ぞうひき)」
「七つ面(ななつめん)」
「鳴神(なるかみ)」
「不動(ふどう)」
「不破(ふわ)」
「矢の根(やのね)」
タイトルでだいたい想像できるものから「なんだこりゃ」なものまで様々ですが、この中で「外郎売」「景清」「毛抜」「鳴神」「矢の根」は時おり上演されるものの、残った十番についてはほとんど上演されないどころか、内容もあやふやになってしまっているそうです。
今回はそんな幻となった?歌舞伎十八番の一つ「関羽」について紹介したいと思います。
歌舞伎十八番「関羽」について
正式な外題(タイトル)は「閏月仁景清(うるうづき ににんかげきよ)」で、初演は元文二1737年11月。市川團十郎(いちかわ だんじゅうろう。二代目)が得意とした演目とされています。
【あらすじ】
時は鎌倉、頼朝(よりとも)公の弟である三河守範頼(みかわのかみ のりより)が兄から将軍の座を狙おうと企んでおり、それを知った平景清(たいらの かげきよ)はその野望を阻止するべく、『三国志(さんごくし)』の豪傑・張飛(ちょうひ)に扮して駆けつけます。
すると、向こうから張飛の義兄弟である関羽(かんう)に扮した御家人・畠山重忠(はたけやま しげただ)がやって来たので、二人は力を合わせて範頼の館へ乗り込み、大立ち回りの末に範頼の野望を阻止したのでした……めでたしめでたし。
【見どころ】
美髯公(びぜんこう。美しいヒゲの主)という二つ名を持つ関羽が、自慢のヒゲをしごきながら見得を切る「関羽見得(かんうみえ)」をはじめ、関羽のトレードマークである青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)や愛馬・赤兎馬(せきとば。三国志に登場する名馬)に騎乗した唐装束(からしょうぞく。ここでは大陸風の武装)のいでたちなど、日本の武士とは趣を異にするインパクトがあったそうです。
ちなみに、景清の扮した張飛はハリネズミのようなヒゲと、穂先が蛇のようにうねった蛇矛(だぼう)がトレードマーク、関羽と並んで両雄とも『三国志』ファンにはたまらない?好演が目に浮かびます。