魅力的?ちょっと怖い?昔の女性が「お歯黒」をつけていた理由。古くは男性も行っていた:2ページ目
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「それなら、男性も続ければよかったのに」そう思う方も多いでしょうが、ここで言及している「魔」とは「(間)男」を指しており、嫁入り前の娘や大事な妻をあえて醜くさせることによって、いわゆる「悪い虫」がつかないようにしたのでしょう。
もしそうだとすれば、昔の男性たちもお歯黒をした女性たちの口許を「美しい」と感じていた訳ではなく、他の(両親や夫の望まぬ)男たちに「手を出すな」というメッセージを発していたことになります。
ちなみに、お歯黒と言えば花嫁姿の妖怪「お歯黒べったり」や、「百鬼夜行絵巻」でもやんごとなき?女性の妖怪が身だしなみに勤しんでいる姿が有名であり、やはり「口を開けたら真っ黒な歯がびっしり並んでいる」光景というのは、ちょっと驚いてしまいます。
よく「美醜の基準は時代や地域によって大きく異なる」と言われますが、この点については意外に現代人と同じ感覚だったのかも知れませんね。
古くから「明眸皓歯(めいぼうこうし。パッチリとした瞳に白く輝く歯=美女の代名詞)」ということわざがある通り、男女ともに自然な歯が一番魅力的だと思います。
※参考文献:荒俣宏『アラマタヒロシの妖怪にされちゃったモノ事典』秀和システム、2019年8月1日 第1刷
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