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政治とスポーツは無関係か?”民族”の認識のズレ「いだてん」第35話 振り返り:3ページ目
祖国の国旗・国歌で表彰されなかったマラソン日本代表
ベルリン大会では、日本がマラソンで初めて金メダルを獲得します。しかし、金メダルを勝ち取ったのは日本統治下の朝鮮出身・孫基禎選手でした(銅は同じく南昇竜選手)。
彼らは「オリンピックに表彰式というものがあり、国旗を掲げて国歌が演奏されるということを知らなかった」と語りの五りんから説明がありました。彼らは日本代表として出場していても、朝鮮出身であることを誇りに走ったのです。現地でサインを求められた際はハングルで名前を書き、「Korea」と併記したそうです。彼らにとってそれがアイデンティティだったのです。
一方、日本で応援する四三や辛作の認識は違います。辛作は「自分がつくった足袋で走るなら、日本人であろうが朝鮮人であろうが、アメリカ人、ドイツ人、誰だって応援するし、勝ったらうれしい」と言い、四三は「孫くん頑張れ、南くん頑張れ」と同じ仲間として応援しています。
朝鮮人選手として自国の国旗・国歌で表彰されなかった悔しさを想像しながらも、日本代表として活躍した二人を同じ仲間として応援する、「平等」「対等」「分け隔てなく」……。そこに差別意識などなく、平和的な反応でした。
ですが、「民族」の認識は同じでしょうか?怯えながら「ハイルヒトラー」とナチス式敬礼をするユダヤ人スタッフと、ギャグのように使う日本選手たち。日本選手として出場しつつも、実際は日本人ではない朝鮮人選手たち。
優位に立つ者とそうでない者の間には、無意識的に「民族」の認識にズレがある。スポーツと政治が結びついてしまった現実を描きながら、それでもスポーツを平和的に捉える人々の中の無意識な「異様さ」が、それに気づいたまーちゃんを通じて客観的に描かれた。そんな回でした。
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