2021年の中秋の名月は9月21日!十五夜のお楽しみ「中秋の名月」に関する雑学を紹介します:2ページ目
中秋?それとも仲秋?一文字違いで微妙にニュアンスが異なる
ある時、問い合わせがありました。
「手紙の文言にチュウシュウの名月と書く時、チュウの字は中か?仲か?」
結論から言えば、中秋と仲秋のどちらも正しいのですが、この一文字で微妙にニュアンスが異なります。
中秋の名月:旧暦で8月15日から16日にかけての晩に出る月
仲秋の名月:旧暦で8月1日から末日(30日)の毎晩に出る月
「中秋」とはその名の通り「秋のど真ん中」を表わし、旧暦における秋の期間は7月1日から9月30日の90日間。だから8月15日から16日にかけての夜が、ちょうど真ん中に当たることになります。
(※旧暦は1月から12月まですべて30日間となっています)
「仲秋」とは「秋の次男坊(二番目の一か月。旧暦8月)」を意味しており、旧暦における秋の3ヶ月間を三兄弟に見立てて、長男は「孟秋(もうしゅう。旧暦7月)」、三男は「季秋(きしゅう。旧暦9月)」と呼びます。
ちなみに、それぞれの頭文字は古代中国人の字(あざな。成人男性の通称)から採ったもので、孟とは「はじめ」を意味して、『三国志』で有名な曹操は長男ですが、字を孟徳と言います。
仲が字についている人物は必ず次男坊(例:司馬懿仲達)で、四字熟語の「伯仲(はくちゅう)」は長男(伯も長男の字につけられる)と次男が僅差で争う様子が表わされています。
ついでに季は三男坊に限らず「末っ子」をしており、字を見るとその人物が長男か次男か、あるいは三男以降なのかが判別できます。
ちなみに、この孟・仲・季は他の季節にも使われる(例:孟春、季夏など)ので、お手紙のあいさつ文にちょっと書き添えると、趣深く感じられるかも知れません。
話を戻すと、「中秋の名月」は旧暦8月15日の一晩限り、「仲秋の名月」なら旧暦8月1日から30日まで、たっぷりチャンスが巡ることになります。