これぞ浮世絵に見るチラリズム!鈴木春信の描く"風に吹かれる美人たち"の実にセクシーなことよ
江戸時代中期に活躍した浮世絵師・鈴木春信。
鈴木春信といえばなんといっても美人画。描かれる女性の姿はたおやかですらりとしたスタイルが印象的。女性が着ている着物はすごく柔らかさが表現されています。
鈴木春信が描く美人画の中でとても印象深いシチュエーションの作品がいくつかあります。その中にはとても人気の高い作品もあるのですが、そのシチュエーションとは大雨、強風の中に女性がいるシーンです。
強風で女性の着物の裾がはだけてしまう姿は現代でいうチラリズムに相当するエロティシズムを感じます。…よ、要するにとってもエロい。
春信は春画においてもかなりの名手だったそうなので、春信本人もその部分は意図して誇張して描いていたりもしたのでしょう。
そんな鈴木春信のエロティシズム溢れる美人画のまとめです。どうぞ。
雨中美人
夏の夕立に大あわてで洗濯物を取り込む美人。あわて過ぎて下駄が片方脱げてしまったドジっ娘です。
出典:A Young Woman in a Summer Shower | Museum of Fine Arts, Boston
野分
野分は台風の古称。旅姿の美人さん二人連れが強い風に吹かれています。風に翻る裾からのぞく脚が色っぽいです。
夜雨宮詣美人図
「雨夜の宮詣で」提灯を下げて傘をもちながら夜の雨の中お宮参りの美人。傘は破れ、提灯の火は消えてしまっているのでしょうか。境内の杉の木の様子から見るに相当な強風と思われますが、まさにどこ吹く風といった涼しい顔の娘です。
この作品は、現在東京国立博物館に1枚残るのみ。
Woman Running to Escape a Sudden Shower
突然の雨を避けて駆け出す美人。はだけた裾を押さえもせず、走る走る走る。カクカクした稲光と筆目の強さが、夏の強い夕立を思わせる景色。黒雲の向こうには雷神の太鼓がのぞいています。
出典:From the Harvard Art Museums’ collections Woman Running to Escape a Sudden Shower
三十六歌仙「源重之」の詩歌より
小倉百人一首48番 「風をいたみ 岩うつ波の 己のみ くだけて物を 思ふころかな」
風が激しいので岩を打つ波がひとりでに砕け散る様子と、自分の恋心が砕け散る様を歌った片思いの和歌。男性が詠んだ和歌なので、想いを寄せている女性を描いたのでしょう。
やつし芦葉達磨
一葉の葦に乗って川を渡る達磨大師を模した遊女。達磨大師の伝説へのオマージュ。美人さんのフード付きみたいな着物の赤が達磨さんの着物を思い起こさせます。
柳の下に風になやむ美人
川沿いの道でしょうか。柳の枝も風になびき、娘さんの着物の裾もなびいて膝小僧まで見えています。はだけた裾が気になる可愛らしい娘さんがちょっと恥じらう様子が胸キュンポイント。
出典:Young Woman Carrying an Umbrella in a Gust of Wind | Museum of Fine Arts, Boston
清水の舞台から舞い降りる美女
恋の成就にかけた女心を、花びらのように舞い降りる姿に描いた作品。傘をパラシュートの代わりに、えいやっと飛び降りたところが切り取られています。風に吹かれるのではなく、自ら風をおこす美女。
鈴木春信をはじめとした浮世絵師、日本画家の入門書をJapaaanが監修しました。日本画鑑賞をこれから色々楽しんでみたいと思っている方には是非チェックしてみてください。