江戸時代は七色とは思ってなかった!?虹が描かれた珍しい浮世絵作品まとめ
自然現象の中には、仕組みは解明されていたとしても何度見てもとても不思議な現象ってありますよね。そんな現象の中に「虹」がありますが、江戸時代の日本では虹は七色という認識はなく、それまでの文献にも記載されていなかったそうです。七色と記載されるようになったのは西洋科学を取り入れた江戸時代末期なんだそうです。
現代でもとても美しく不思議な現象である虹を江戸時代の浮世絵師はどのように描いたのでしょうか?今回は江戸時代に描かれた浮世絵を中心に、虹を描いた作品を集めてみました。
自然現象を描いた浮世絵特集としては以前カミナリの特集もお送りしましたので、こちらも併せてどうぞ。
歌川国芳 するがだひ東都名所
現在は千代田区神田駿河台。当時は台地の上から富士山がよく見えたため、地名の由来とも言われています。
出典:British Museum - Surugadai するがだい / Toto meisho 東都名所 (Famous Places in Edo)
川瀬巴水 青森県蟹田
川瀬巴水 1933年の作品。青森県蟹田町の風景。
出典:Kawase Hasui (1883-1957) 川瀬巴水 - - "Kanita in Aomori Prefecture" - Woodblock
歌川広重 名所江戸百景 高輪うしまち
歌川広重 1857年の作品。やわらかなぼかしで虹を表現。現在は埋め立てられて見られない品川の海岸です。スイカの皮が夏らしさを表しています。
出典:British Museum - No 81,Takanawa Ushi-Machi / Meisho Edo Hyakkei
歌川広重 六十余州名所図会 対馬 海岸夕晴
1856年の作品。長崎県の対馬の海にかかった虹。
出典:Utagawa Hiroshige | Tsushima Kaigan Yubare | Japan | Edo period (1615–1868) | The Met
川瀬巴水 潮来の夏
1945〜1946頃の作品。夏の雨上がりの気持よい虹。
出典:Kawase Hasui (1883-1957) 川瀬巴水 - - "Summer in Itako - Itako no natsu" - Woodblock
歌川国芳 忠考名誉奇人傳 中将姫
1845-1846年ごろの作品。天保の改革により、美人画の出版が禁じられたため、歴史上の女性を美人画の代わりに描かれ、衣装などは出版当時のもの。中将姫は歌舞伎や浄瑠璃などにも描かれる伝説の人物です。
歌川国芳 木曾街道六十九次之内 八幡
日本橋から今日の三条大橋までをつなぐ木曾街道の宿場を描いた1852年の作品。狩装束の近江小藤太と八幡三郎が丘の向こうを行く伊東祐親の部隊を眺めている様子。画面左上の枠のコマ絵は宿場町の風景が描かれています。
歌川国貞 美人爽句集 小六女
1863年の作品。小六女(ころくじょ)の詠んだ「小六女 夕虹やまだ雨たりは落なから」を元にした浮世絵。まだ雨だれが残りつつも夕方に虹がかかった様子を描いています。虹の色使いがリアル。
川瀬巴水 旅みやげ第3集 より 加賀八田 秋の虹
風が強く、寒々しい風景の中にすっと現れた虹。石川県加賀八田の秋の虹。
出典:Kawase Hasui (1883-1957) 川瀬巴水 - - "Autumn Rainbow at Hatta, Kaga" - Woodblock
歌川国芳 春の虹蜺
団扇絵。うなぎの蒲焼を食べている最中に「虹が出てる」と言われて振り返った瞬間なんだそうです。
出典:Rainbow in Spring. Fan print. c 1835. Utagawa KUNIYOSHI. (1797-1861) | UKIYOE | Pinterest
徳力富吉郎 安芸宮島鳥居
徳力富吉郎は京都生まれの木版画家。1941年の作品です。虹の色がくっきりと分けられて、爽やか。
出典:徳力富吉郎: Aki Miyajima Torii - Japanese Art Open Database - 浮世絵検索