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どんな大河も一滴の水から。多摩川138キロの源流「水干」の最初の一滴を求めて

どんな大河も一滴の水から。多摩川138キロの源流「水干」の最初の一滴を求めて

一世紀にわたる森林再生計画

しかし、この豊かな水源も最初からあった訳ではないようです。

時は明治時代末期、東京府(現:東京都)が多摩川の水源確保・水量安定化を目的として上流域の山林を買い入れました。

当時の山野は江戸末期から明治時代にかけて行われた焼き畑農業による山火事や、燃料として薪の乱伐によって荒れ果てていたそうです。

大きな木や林に乏しいため保水能力が低く、大雨が降ると山崩れを起こして多摩川はしばしば氾濫し、少し雨が降らなければすぐに干上がって深刻な水不足に見舞われました。

これでは都民の生活が豊かにならない。そう考えた当局は、すっかり砂漠化してしまった山々に植樹を行い、およそ一世紀の歳月をかけて豊かな森を取り戻したのでした。

まず、砂地ばかりで気温の低い土地でも育ってくれる針葉樹や、地表近くに広く根を張って地滑りを防いでくれる笹を植えてから、野生動物の餌となる実をならせる広葉樹をじっくりと育てる下ごしらえをするなど、自然の特性を活かした知恵と創意工夫が投入されたことが遊歩道の案内板に紹介されています。

こうした先人たちの努力が、今でも所々にむき出しとなっている砂地の地層に垣間見ることができます。

3ページ目 世界的に希有な「水道をひねれば水が出る」という当たり前

 

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