お天道様は見てござる…伊勢商人の心意気を表わした「伊勢乞食(いせこじき)」とは?:3ページ目
終わりに
何かと世知辛い昨今、「勝ち組」「負け組」なんてさもしい言葉が流行り出したのはおよそ20年ばかり前と記憶していますが、勝ち負けにこだわり過ぎるあまり、いつも助け合って生きてきた日本人らしさが失われつつあるように感じられてなりません。
もちろん人生、時には「負けられない戦い」もありますし、乞食になるのも御免こうむりたいところではありますが、人間誰もが裸で生まれ、この世で得たすべてを遺して死んでいくのは、誰一人として逃れ得ない摂理です。
確かにお金は大切だけど、お金のためだけに生きている訳じゃない。まして悪事を働く価値なんてない。
まっとうに人事を尽くした上で、乞食になるならなったでいいさ。お天道様は見てござる。悪いことさえしていなければ、悪いようにゃぁなさるめぇ……そんなある種の開き直りが、私たちの人生を少しばかり気楽にしてくれるかも知れません。
※参考文献:
松村明 編『大辞林 第三版』三省堂、2006年10月27日
もぐら『県民性マンガ うちのトコでは』飛鳥新社、2010年1月23日