天は人の上に人を造らず…だけじゃない、福沢諭吉「学問のすすめ」のメッセージとは?:2ページ目
福沢諭吉のメッセージ
言うまでもなく、『学問のすすめ』は「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」では終わりません。
少しだけ、その続きを引用してみましょう。
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」と言えり。……
※『学問のすすめ』初編より。
この「~と言えり」というフレーズは「~と言われている」という意味になりますが、少し察しのよい方だと「このあと、これを否定する展開になるかも知れない」と勘づかれるかも知れません。
ご名答。その後の展開を、ごくざっくりと噛み砕いて紹介していきます。
【意訳】
もし人類が本当に平等であれば、誰もが自由に満ち足りて幸福な人生を謳歌している筈だ……しかし、現実の世界はそうではなく、賢愚・貧富・貴賤の格差が雲泥のごとく存在している。
なぜならば……賢い者は努力して学んだから賢く、そうでない者は愚かなまま。よく学んだ者は難しい仕事が出来るから高い身分と収入を得て、学ばない者は簡単な仕事しかできないから身分も収入も低く貧しいまま……こうして格差が生じ、次第に広がっていったのだ。
ことわざに「天は富貴を人に与えずして、これをその人の働きに与うるものなり」と言うように、富も身分も生まれてからの努力によって得られるのである……(以下略)……。
その努力とは「学問」に他ならず、だから福沢諭吉は「豊かな暮らしがしたければ、学問に励みなさい」と子供たちにメッセージを伝えるべく『学問のすすめ』を書いたのでした。
人類は決して平等じゃありませんが、それを「不公平だ」と拗ねるのか、あるいは「自分にも可能性がある」と努力するのか。その違いこそ、人生における大きな差になっていくのです。