ジョン万次郎だけじゃない!江戸時代、9か月もの漂流後に救助されアメリカへ渡った漂流民・伊之助:2ページ目
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伊之助の願いが叶い故郷へ
1854(嘉永7)年の6月、伊之助はようやく願いが叶い、カリフォルニア商船レディピアス号によって日本に送り届けられます。
さて、帰国後の伊之助ですが、英語がある程度理解できたことから、通訳として幕府に仕える話もあったようです。ところが、本人は帰郷を強く望んでいたため、下田・江戸で簡単な取り調べを受けた後、8月になってようやく故郷板貝村に帰りました。
新潟県立公文書館には、帰郷後、伊之助が庄屋辰蔵に語った文書が保存されています。そこには、「湊みなとはサンフランセシコといふ 都はニウヤラカといふ 御奉行はガハナといふ 男をマンといふ 女をヲンメンといふ」など、伊之助が見聞したアメリカの町の様子や言葉のことなど、またアメリカ人が着ていた洋服などが克明に綴られています。
ひょうんなことから、言葉も文化も全く異なる土地で暮らすことになった伊之助。滞米中、不安で心が休まることはなかったのではないでしょうか。
参考:新潟県立図書館、「漂流譚 アメリカへ渡った越後人」新潟県立歴史博物館編
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