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永遠なる“武士の魂”!殉死に反対し戦国大名・宇喜多直家に忠告した老勇者のエピソード

永遠なる“武士の魂”!殉死に反対し戦国大名・宇喜多直家に忠告した老勇者のエピソード

死にゆく孤独と、老臣の諫言(かんげん)

さんざん人を殺してきた直家ですが、いざ自分の番となると、やっぱり心細くなるのが人情。病床に家臣たちを集めて、こんな事を言いました。

「わしが死んだら、誰か後を追ってくれるかのう……」
【原文】我死セバ誰カ殉死セン。

当然のごとく、家臣たちはリアクションに困ります。だってそうでしょう。誰だって死にたくないけど、それを言ったら忠誠心を疑われて、後からどんな面倒ごとになるかわかりません。

まして「武士に二言なし」、一度口にした以上、本当に追腹(おいばら。亡くなった主君の後追いで切腹すること)を切らされかねないし、死ななきゃ死なないで「口先野郎」として名誉を損なうばかりか、次世代の人事査定にも影響する……。

そんな訳で、普段はおべっかやゴマすりに余念がない連中も、今回ばかりは流石にだんまり……かくして現場に重たい空気が流れます。

(あぁ、何とかごまかしたい。できれば逃げたい。あるいは誰か、嘘でもいいから名乗り出て、御屋形様のご機嫌をとってくれ。自分以外なら誰でもいい……)

まぁ、そんな不埒なことを考えていた備州武士は流石にいなかったでしょうが、そこに救世主が現れます。

「畏れながら……」

口を開いたのは、剛毅の士として知られる歴戦の老臣・花房(はなぶさ)氏でした。

※原典には名前の明記がないものの、年齢や人物言行より越後守正幸(えちごのかみ まさよし)と推定されます。

3ページ目 死ぬ忠義より、活かす忠義を

 

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