それって届くの?武将・直江兼続が閻魔大王にメッセージ。その理由が怖すぎる…:3ページ目
まとめ「アイツならやりかねない」
このエピソードは江戸時代後期の随筆集『煙霞綺談(えんかきだん。集話:西村白烏)』巻之四に収録された「閻魔王書状」という物語。
歴史的事実としてはいささか(多分に)根拠が怪しいものの、こうした物語や噂話というものは
「アイツならやりかねない、やってのけてもおかしくない」
というある種のカリスマ?が生み出すもので、たとえ事実ではなくても、「あのいつもバカ真面目な直江山城守なら、そんな事があったかも知れない」という思いが、何かのきっかけに尾鰭をつけた可能性も十分にあるでしょう。
余談ながら、今回登場した三宝寺勝蔵という武士は実在した証拠がなく、架空の人物と考えられますが、似たような名前の山本寺松三景長(さんぽんじ しょうぞう かげなが。生年不詳~天正十1582年6月3日)という武将がおり、後世の人が音から漢字を想像≒創作した可能性があります。
更に、昔はコピー機もなければコピー&ペーストも出来ないため、当然ながら書物は人間の手で書き写すのですが、「三宝寺」という漢字を間違えて「三室寺(みむろじ)」としたり、「勝蔵」も「庄蔵」となったり、表記のゆれも生じています。
いつの時代も、物語は人から人へ伝えられ、その中でウソや誇張や勘違いも入り混じり、やがて「伝説」へと成長します。
創作された物語にも、それを産み出し、伝えた人々の想いがあり、それも含めて味わってこそ、歴史にふれる喜びはより深まろうというものです。