とある武士が自分の腹を切り命懸けで守り抜いた血みどろの家系図「チケンマロカシ」とは?:4ページ目
終わりに
……さて、この話を聞いて、皆さんはどう思われたでしょうか。
おそらく、大方は「何もそこまでしなくても……」「家系図なんかのために……」といったご感想でしょうか。
少なくとも、これまで私が語り聞かせた限り、そうした反応がほとんどで、中には理解のゲージを振り切ってしまったのか、怒りだす方までいました。
しかし、家とは元来「そういうもの」です。
名のないものは「存在しない」のと同じ。人は必ず死にますが、名前を伝えることで、思いが通じることもあります。
「自分が死んでも、どうか忘れないで欲しい」
「自分が生まれ、生きたこと、そして死んでいくことに、何かしらの意味が、価値があって欲しい」
往時の武士たちにとって、そうした人々の想いが綴られた記録こそ家系図であり、かけがえのない宝物だったのです。
自分一代で終わると思えば虚しい人生ですが、先祖からの想いを受け継ぎ、子孫へと伝えていく営みにこそ、人間という生き物の価値があります。
「過去への感謝と、未来への責任」
私たちも歴史の一員として、祖先や子孫に恥じない生き方を心がけたいものです。