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力士は髷が結えなくなったら引退…という噂の発端?絶頂期で引退した横綱 栃木山の引き際の美学

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デマの発端にもなった!?大横綱、突然の引退

ところが順風満帆に見えた栃木山は、3場所連続優勝を果たした直後の大正14(1925)年5月場所前に、なんと突然引退を表明したのでした。引退の理由については

○横綱として3度も連続優勝したにもかかわらず、番付が「張出横綱」のままだったことに不満があった
○髪が薄くなったことを気にした

など、様々な噂が流れました。

春日野親方となってから参加した第1回全日本力士選士権で、親方でありながら現役力士たちを抑えて優勝したことからも分かるように、この時彼はまだ十二分に横綱としての力を残していたのです。「あと5年は横綱を務められる」という声が上がるほどだった彼の引退に、周囲が大反対したことは言うまでもありません。

引退の真相について、当の栃木山本人は「力が衰えてから辞めるのは本意ではない。今が華だと思うから」と語り、この発言がまた賛否両論を呼びました。

「弱くなっていく姿を見せず、ピークのまま引退すること」は、彼なりの「横綱の引き際の美学」だったのかもしれません。しかし皮肉なことに、現在も一部でまことしやかに囁かれる「力士は禿げて髷が結えなくなったら引退しなければならない」という噂の発端の1つとなってしまったことも、どうやら間違いないようですね。

 

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