「若乃花」を芸名に使えない理由。相撲の伝統的な四股名「止め名」「出世名」とは?:2ページ目
部屋や一門の名力士の名を受け継ぐ「出世名」
皆さんは、これまでに「若乃花」という横綱が、3人いたのをご存知でしょうか?初代は元日本相撲協会理事長を務め、現役時代は栃錦とともに「栃若時代」と呼ばれる大相撲フィーバーを巻き起こした、第46代横綱・若乃花幹士。
2代目はその初代若乃花の弟子で、「若三杉」から横綱昇進に伴い師匠の四股名「若乃花」を襲名した、第56代横綱。そして3代目は、「お兄ちゃん」の愛称でも知られ、現在もテレビなどで活躍中の花田虎上氏こと、第66代横綱・若乃花勝。
このように、同じ部屋や一門の中で番付が高い出世頭の力士が、その部屋や一門出身の横綱・大関・優勝経験者などの名力士の四股名を受け継ぐことがあります。その四股名を「出世名」と呼び、「若乃花」の他にも「朝潮」「小錦」「両国」などがよく知られています。
「出世名」を名乗ることは、非常に名誉なことです。しかし同時に、襲名した力士が引退後にタレントに転向する場合などには、由緒ある四股名ゆえ「芸名」として使用することが認められないなどの制約もあります。
このため、現在もタレントとして活動を続けている元大関・小錦はローマ字表記の「KONISHIKI」を旧芸名としていましたし、「お兄ちゃん」こと花田虎上氏も「若乃花」を芸名として使用することができず「花田勝→花田虎上」で活動することになりました。